欧州議会の合同委、タクソノミー委任規則案に反対の決議採択

欧州議会の経済金融委員会(ECON)と環境・公衆衛生・食品安全委員会(ENVI)は14日開いた合同委員会で、持続可能な経済活動かどうかを仕分ける「EUタクソノミー」について、天然ガスと原子力を脱炭素化に貢献する投資対象と認定する委任規則案に反対する決議を採択した。同決議は7月4日~7日の欧州議会本会議で採決される。最終的に過半数の議員が賛成票を投じた場合、欧州委員会は委任規則案を撤回するか、修正する必要がある。

委任規則は持続可能な経済活動として認定する際の基準を定めたもの。規則自体は1日1日付で適用が開始されており、風力や太陽光発電所の建設、低排出ガス車の生産など幅広い事業がグリーン投資の対象として分類されている。天然ガスと原子力については加盟国間で意見が分かれていたため、判断を先送りしていたが、欧州委は2月、一定の条件下で両エネルギーを脱炭素に貢献すると位置づけ、再生可能エネルギーがベースとなる将来への「つなぎ役」として「グリーンリスト」に加えることを提案した。

合同委員会では賛成76、反対62、棄権4で欧州委案に反対する決議が採択された。決議文は、エネルギー安全保障の観点から、移行期における天然ガスと原子力の役割については理解を示したうえで、天然ガスは二酸化炭素(CO2)を排出し、原子力発電では放射性物質が発生するため、気候変動の緩和や汚染の予防・管理といったタクソノミー規則の原則と整合していないと指摘。本会議で決議が採択され、その結果、欧州委が委任規則案を修正したり、新たな規則案を提示した場合は、改めて公開協議と影響評価を実施するよう求めた。

原子力を持続可能と認定する案をめぐっては、原発推進派のフランスや東欧諸国が支持する一方、ドイツやオーストリアなどが強く反対。天然ガスについてはドイツや東欧諸国が支持する一方、オランダやスウェーデン、デンマークなどが認定に難色を示している。

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