2011/6/15

コーヒーブレイク

ポーランドのアスパラは誰が掘る?

この記事の要約

春から初夏が旬のアスパラガス。ドイツのアスパラ農家ではこの時期、外国からの出稼ぎ労働者がせっせと収穫に励んでいる。なかでもポーランド人は毎年手伝いに来る人も多く、農家の頼りだ。ドイツ人が敬遠する「休日なし、朝から晩までの […]

春から初夏が旬のアスパラガス。ドイツのアスパラ農家ではこの時期、外国からの出稼ぎ労働者がせっせと収穫に励んでいる。なかでもポーランド人は毎年手伝いに来る人も多く、農家の頼りだ。ドイツ人が敬遠する「休日なし、朝から晩までの長時間労働」の穴を埋めている。

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しかし、ポーランドでも主にドイツへの輸出向けにアスパラが作られている。こちらの収穫は誰がするかというと、ウクライナから出稼ぎが来る。ドイツ国境から約100キロメートルに位置するヴォルシュティンで農場を営むヴィトコフスキさん(53)は、ウクライナ人15人を雇っている。

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その1人、ストリフルスキさん(35)はもともとトラックの運転手。ヴォルシュティンから700キロ離れた故郷の村では仕事がなく、この出稼ぎが唯一の収入源だ。1日の労働時間は最長12時間、土日もなく、かがんだ姿勢で掘り続ける。

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なぜ、ポーランド人が地元ではなくドイツでアスパラ収穫に携わるのか――理由は単純明快、賃金にある。ドイツでの時給が最低6.4ユーロなのに対し、ポーランドでは1.4ユーロ前後に過ぎない。ヴィトコフスキさんによると、ポーランドではよく、「ドイツで働き、ポーランドで生きる」と言うそうだ。貨幣価値の差がこの現象を生み出している。ウクライナからの季節労働者たちも「ポーランドで働き、ウクライナで生きる」を実践。ヴィトコフスキさんの農場ではワンシーズンの稼ぎが最大1,400ユーロになる。これで大体、8カ月生活できるようだ。

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ストリフルスキさんは、「家族のいるところで働くのが一番だが、食いはぐれるよりはいい」と話す。やはりウクライナから来ている元教師のクライロさん(60)は、1カ月60ユーロの年金ではどうにも暮らしていけないと出稼ぎをしている。

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さて、ウクライナのアスパラは……というと、これは誰も掘る必要がない。ストリフルスキさんが「故郷では見たことがない」と話すように、アスパラは一般的ではなく、栽培されていないからだ。

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