ルーマニアのオラデアとプリャジバ村で、500人のボランティアが低所得世帯を対象に、たったの5日間で14軒の家を建設した。住宅作りを通じてコミュニティーを築く自立支援型の非政府組織「ハビタット・フォー・ヒューマニティ」が企画したもので、ボランティアの労働力と大手企業の物的・金銭的支援を得て、見事に工事をやり遂げた。
\建設したのは、寝室2部屋に台所、リビング、バスルームという至って質素な住宅だ。しかし、レンガ世界最大手のヴィーナーベルガーの寄付で、ルーマニアでのプロジェクトとしては初のレンガ造りとなった。
\ハビタットの支援を受ける家庭は、自宅の建設作業に汗を流さなけれならない決まりだ。また、近隣で同じようにハビタットの家が建つ場合には手伝いに行くことも義務となる。
\建設費の自己負担分は無利子債務で、完工後、20年間で支払う。同時に最長1,000時間の建設作業にも携わる。
\ハビタットは1996年からルーマニアで活動しており、これまで3,900世帯を支援。住宅の建設・再建、省エネルギー化や、社会的弱者向け住宅の整備、災害救援などに取り組んできた。今年は知名度を高めるため、「ビッグ・ビルド・プロジェクト」として短期間に多くの住宅を建設した。
\このプロジェクトに対して、ボーダフォン財団は10万ユーロを寄付。従業員300人をボランティア労働力としてプリャジバ村へ派遣した。ヴィーナーベルガーは今回の14軒を含めて140軒の建設を資材面で支援する予定だ。このほかにも、ポルシェ・ルーマニア、ユーロファーム、ラファルジュ・ルーマニアなどが協力している。
\欧州統計局(ユーロスタット)が昨年発表したリポート『欧州住宅事情』によると、ルーマニアの住宅環境は悪い。500万世帯が貧困の中で暮らし、100万世帯では暖房も上下水道もない。人口の41.2%はシャワーも浴そうも持たない。居住スペースが狭すぎるケースは55.3%と、欧州平均(17.8%)の3倍に上る。雨漏りがしたり、屋内にトイレがないなど、不便な家に住む人は28.6%で欧州で最悪となっている。
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