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2011/9/28

コーヒーブレイク

財閥政治に「No!」~ラトビア

この記事の要約

ラトビアで18日実施された議会選挙は、財閥による政治支配を糾弾する国民の声を反映する結果となった。ザトレルス前大統領が汚職撲滅を掲げて発足した新党「ザトレルス改革党」が21%の高得票でいきなり第2党となったほか、ロシア系 […]

ラトビアで18日実施された議会選挙は、財閥による政治支配を糾弾する国民の声を反映する結果となった。ザトレルス前大統領が汚職撲滅を掲げて発足した新党「ザトレルス改革党」が21%の高得票でいきなり第2党となったほか、ロシア系市民が支持層の中道左派政党「調和センター」が得票率29%弱で第1党に躍進した。

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一方で、財閥と癒着しているとみなされた政党は惨敗。ドムブロフスキス首相を頭に与党連合が合併して成立した「統一」は12ポイント減の19%に、汚職容疑で裁判中のレンベルグス氏が率いる「緑と農民の党」は8ポイント減の12%に激減した。シュレセルス改革党(LPP/LC、旧ラトビア第一党/ラトビアの道)は5ポイント減の2.4%で議席獲得に必要な5%を下回った。

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今回の議会選挙は今年5月、汚職防止・取締局(KNAB)がシュレセルス議員の家宅捜索許諾を求めたことに対し、議会がこれを否決したことに端を発する。批判的な立場のザトレルス大統領(当時)は国会解散を問う国民投票を実施する大統領権を行使。7月の投票で95%弱が解散を支持し、改選が決まった。

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選挙結果を受けて、財閥支配への国民の怒りがラトビアの政治文化を変えるとの期待が高まっている。これまでは汚職の問題が浮上すると、国民の反ロシア感情をあおって危機を切り抜けてきた財閥系議員の手口が今回は通用しなかった。

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一方で、「調和センター」は民族政党の色彩が弱く、ラトビアの欧州連合および北大西洋条約機構への継続加盟を支持。また、選挙前には初めて「第2次世界大戦中のソ連によるラトビア侵攻が、ラトビアの『解放』ではなく『占領』だった」と認めるなど、歩み寄りの姿勢を明確にしている。同党を含めた連立政権樹立の可能性もあり、民族にしばられない真の民主主義のはじまりが期待される。

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