中・東欧、CIS諸国、ロシアに特化した情報誌

2010/3/31

総合・マクロ

ナブッコ建設計画に遅れなし

この記事の要約

カスピ海周辺国の天然ガスをトルコ経由で欧州に運ぶ「ナブッコ・パイプライン」の推進母体であるナブッコ・ガスパイプライン・インターナショナルのミチェク社長は25日、パイプラインの建設計画に変更がないと明言し、計画に遅れが出て […]

カスピ海周辺国の天然ガスをトルコ経由で欧州に運ぶ「ナブッコ・パイプライン」の推進母体であるナブッコ・ガスパイプライン・インターナショナルのミチェク社長は25日、パイプラインの建設計画に変更がないと明言し、計画に遅れが出ているとの憶測を否定した。

\

ナブッコは、トルコからオーストリアに至る全長3,300キロのパイプライン。輸送能力は年間310億立方メートルで、総工費79億ユーロをかけ2011年に着工、14年の稼働開始を予定している。同パイプラインは供給・資金面での調整が難航していることから計画の遅れを懸念する声が挙がっており、欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会のエッティンガー委員(エネルギー担当)は25日発行の独有力紙『ジュートドイチェ・ツァイトゥング』に掲載されたインタビューで、ナブッコの稼動開始が18年にずれ込むとの見通しを示した。この報道に関しミチェク社長は「11年末に着工し、14年末から操業を開始するスケジュールで準備を進めている」と述べ、プロジェクトが計画通り進行していることを強調。ガス輸送量については、年間80億~100億立方メートルから段階的に拡大し、18年のフル稼働時に310億立方メートルに達するとの見通しを明らかにした。なお、エッティンガー委員は一連の報道を受けて声明を発表し、『ジュートドイチェ・ツァイトゥング』紙での発言を撤回した。

\

ナブッコは、ロシアへのエネルギー依存からの脱却を目指す欧州諸国が推進している。実現すればカスピ海産の天然ガスを、ロシアを迂回して欧州に輸入することが可能になる。警戒感を強めるロシアは、自国産天然ガスを黒海経由で欧州に輸送するパイプライン「サウス・ストリーム」プロジェクトで対抗している。

\