2010/4/21

ロシア

ロシア、WTO単独加盟に方針転換も

この記事の要約

ロシアのシュワロフ第一副首相は15日、同国実業・企業家連盟との会合に出席し、ベラルーシ、カザフスタンとの関税同盟で加盟を目指すとしていたWTO(世界貿易機関)加盟問題について「3カ国首脳間で方針変更が合理的であると戦略的 […]

ロシアのシュワロフ第一副首相は15日、同国実業・企業家連盟との会合に出席し、ベラルーシ、カザフスタンとの関税同盟で加盟を目指すとしていたWTO(世界貿易機関)加盟問題について「3カ国首脳間で方針変更が合理的であると戦略的な判断がされれば、変更はある」と語り、単独加盟に切り替える可能性を示唆した。また同第一副首相は別の席上で、「米国が欧州連合(EU)と同様に支援してくれるなら、WTO加盟交渉は数カ月で終わる」とも述べ、単独加盟に切り替えた場合、年内に加盟手続きを完了させることができるとの見通しも明らかにした。

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ロシアはWTO非加盟国の中で最大の経済規模を持つ。加盟交渉は1993年に始まったが遅々として進展していなかったところへ、プーチン首相が昨年6月、突如、従来の方針を放棄し、3カ国の関税同盟で加盟を目指すと発表。これまで関税同盟としてWTOに加盟した前例がなく、加盟交渉が振り出しに戻ることから、ロシアのWTO加盟は大幅に遅れるとみられていた。

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プーチン首相の発表の後、すでにメドベージェフ大統領が数回にわたり「単独か、関税同盟での加盟か、ロシアは好都合なほうを選ぶ」との立場を繰り返しているが、今回の第一副首相の発言も政府方針の軌道修正を図ったものとの見方が強い。第一副首相は「加盟が見えてくれば、年後半にWTOが求める水準まで関税を引き下げる」とまで述べ、国内産業の育成や保護のためここ数年で大幅に引き上げていた未加工木材や自動車の関税率を見直す用意があることを示した。

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ただ、ベラルーシ政府当局者はロシア経済紙『ベドモスチ』に対し、「関税同盟としてWTO加盟を目指すベラルーシの立場に変更はない」と語るなど、3国内で方針の一致はまだなされていないもよう。関税同盟は今年1月に発効、7月までに関税政策を統合して共通の経済圏を誕生させる計画で、ロシアの政府系シンクタンク・経済予測研究所によると、2015年までに3カ国の域内総生産を計4,000億ドル引き上げる効果を持つ。だが、ロシアからベラルーシに輸出する天然ガス、原油の取り扱いについて両国の主張は平行線をたどったままで、計画の遅れを懸念する声もする。

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