2010/4/28

ハンガリー

ハンガリー総選挙で野党フィデスが圧勝、憲法改正も可能に

この記事の要約

ハンガリーで25日、議会総選挙の第2回投開票が実施された。中央選管が26日午前9時に発表した開票率98%時点の集計によると、最大野党のフィデス=ハンガリー市民同盟(FIDESZ)が対象議席121のうち57で当選。11日に […]

ハンガリーで25日、議会総選挙の第2回投開票が実施された。中央選管が26日午前9時に発表した開票率98%時点の集計によると、最大野党のフィデス=ハンガリー市民同盟(FIDESZ)が対象議席121のうち57で当選。11日に行われた第1回投票と合わせると、フィデスの議席数は定数386のうち263に達し、憲法改正が可能な3分の2を上回った。

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この結果を受け、首相就任が有力なフィデスのオルバン党首は「市民は新興財閥がのさばる旧体制を打破した」と勝利宣言。与党・社会党の議席は現在の186から59に激減し、同党のLendvai党首は辞任を表明した。第3党には49議席を獲得した極右Jobbik(ヨッビク)が入った(表参照)。

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フィデスのオルバン党首は第2回投票に先駆けて、年内の減税実施を約束。企業負担を軽減して雇用拡大を図るとともに、河川の堤防工事や下水道整備など新規の公共事業に取り組み、今後10年間で100万人の雇用を創出するとしている。一方、議員定数を国、地方とも半減し、歳出を圧縮する。2009年にマイナス6.3%に落ち込んだハンガリー経済は、今年もマイナス成長が見込まれているが、フィデスは景気刺激策により今年からプラス成長への回復を狙う。

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ただ、フィデスの政策では、今年の財政赤字は国内総生産(GDP)比で最大6.5%に膨れ上がり、国際通貨基金(IMF)などが緊急融資を続ける条件として課している上限(同3.8%)を大きく超過する。オルバン党首は「ハンガリー経済を回復軌道に乗せるためには、IMFなど国際機関の支援継続が必要」と述べたうえで、「現政府の財政赤字算出方法がそもそも誤り」などとして、IMFに財政赤字拡大を容認するよう求めた。同党首は、近くIMFなどと交渉に臨む考えを明らかにしている。

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ベルギーの金融大手KBCのエコノミスト、Barcza氏は「IMFがフィデスの提案を受け入れるか大いに疑問だが、経済全体の改革にフィデスが切り込むなら、容認もあるかもしれない」と見通した。

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