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2010/5/5

ロシア

プーチン首相、ガスプロムとナフトハズの統合提案

この記事の要約

ロシアのプーチン首相は4月30日、南部の都市ソチでウクライナのアザーロフ首相と会談し、ロシア国営ガス企業ガスプロムとウクライナ同業ナフトハズの統合を提案した。これに対してアザーロフ首相は「検討する」と回答。5月の連休が明 […]

ロシアのプーチン首相は4月30日、南部の都市ソチでウクライナのアザーロフ首相と会談し、ロシア国営ガス企業ガスプロムとウクライナ同業ナフトハズの統合を提案した。これに対してアザーロフ首相は「検討する」と回答。5月の連休が明ける第3週以降に、両首相にガスプロム、ナフトハズの両社長を交えて具体的な協議を行う見通しだ。

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プーチン首相は同日、メドベージェフ大統領が21日に合意したウクライナ向けガスの関税免除を実施する政令に署名。統合の提案は、両国のエネルギー安全保障をさらに緊密化させるものと受けとめられる。ガスプロムのミレル社長は「ナフトハズはガス田採掘権、ガスパイプライン、ガス地下貯蔵施設など興味深い資産がある」と述べ、統合に意欲を表明。ガスプロムがウクライナのガス田開発、パイプラインの近代化に投資する可能性にも言及した。

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ナフトハズはウクライナ国営のガス企業。ガス輸入を独占的に請け負うほか、国内ガス生産量の9割を同社が生産している。2009年の売上高は874億フリブナ、純利益23億フリブナを計上したが、純利益の14倍近くに当たる約40億米ドルの債務を抱え、慢性的な経営難に陥っている。

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ロシア経済紙『ベドモスチ』の試算によると、ナフトハズの資産価値は株式100%でも、ガスプロムの株式7%程度にしか相当しない。このため統合が行われる場合、ナフトハズはガスプロムの実質子会社になるとみられるが、ロシア政府報道官のペスコフ氏は2日、「吸収はふさわしくない。両社を束ねる新会社を設立する方向だ」と明らかにした。(1UAH=11.9JPY)

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原子力燃料でも協力へ

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ロシアはまた、ウクライナに原子力燃料分野でも協力を持ちかけている。ロシア国営原子力企業ロスアトムのキリエンコ社長が30日、記者団に語ったところによると、ロシアはウクライナが25年間の長期供給契約を受け入れることを条件に、原子力燃料販売で総額10億米ドルの割引を実施する。ウクライナ最大のタービンメーカーであるVATターボアトムと折半出資の合弁会社設立や、ウクライナ西部のフメルニツキ原子力発電所で3号炉、4号炉をロシア側が建設することなども打診したという。

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