ポーランドで4日、大統領選の決選投票が行われ、与党「市民プラットフォーム(PO)」のコモロフスキ下院議長兼大統領代行が野党候補のヤロスワフ・カチンスキ前首相を破って当選した。任期は5年。トゥスク首相は「政策実現に向け、一層努力する」と述べ、大統領と協力して財政再建など主要課題に取り組む意思を表明した。
\中央選管の発表によると、得票率はコモロフスキ氏53.0%、カチンスキ氏47.0%。カチンスキ氏は1回目の投票でコモロフスキ氏に5%以上の差をつけられたが、◇政府が縮小する方針を打ち出している警察官や軍人、農民、鉱夫に対する年金・保険の優遇制度を現状のまま存続させ、政府と対決する◇2020年または24年の夏季五輪誘致に全力を挙げる――などの政策で急速に支持を拡大、一部の世論調査ではコモロフスキ氏を逆転していた。だが、POの支持が厚い都市部で票を伸ばせず、1回目の投票から差を詰めることができなかった。
\財政再建と欧州共通通貨ユーロの早期導入を掲げるトゥスク内閣はこれまで、カチンスキ候補の双子の弟で、4月の飛行機事故で死去したカチンスキ大統領に何度となく拒否権を行使され、政策を進めることができなかった。それだけに、政府内では同じPO出身の大統領が誕生することへの期待は大きく、さっそく歳入の25%を占める任意支出の増加幅をインフレ率プラス1%以内に抑制する新法案を議会に提出する。これが実現すれば、年90億ズロチの歳出削減につながり、単年度財政赤字を国内総生産(GDP)比3%以内と定める欧州連合の財政基準を2013年までに達成できる見通しがつくという。
\またコモロフスキ氏は「ユーロ導入の具体的な目標時期設定が必要」と主張している。これを受けて首相は「2015年が現実的」との見解を明らかにしており、近く正式な目標時期が定められる可能性もありそうだ。ただ、大統領選が予想以上に接戦となり、来年に議会選挙を控えていることから、エコノミストの間では「トゥスク内閣は選挙前に急激な財政改革を行うリスクをとらないのでは」(ロイター)との観測が流れている。(1PLN=27.0JPY)
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