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2010/10/20

チェコ・スロバキア

電力大手CEZ、テメリン原発拡張工事を延期か

この記事の要約

チェコのコツォウレク産業貿易相は13日、電力最大手CEZが計画しているテメリン原子力発電所の原子炉の増設が延期される可能性があると明らかにした。金融危機の影響により、当初の見込みほど電力需要が伸びない見通しとなったため。 […]

チェコのコツォウレク産業貿易相は13日、電力最大手CEZが計画しているテメリン原子力発電所の原子炉の増設が延期される可能性があると明らかにした。金融危機の影響により、当初の見込みほど電力需要が伸びない見通しとなったため。

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CEZは将来の電力需要の増加に対応するため、テメリン原発で原子炉2基を増設するほか、南モラビアのドコバニ原発でも原子炉の増設を計画している。テメリン原発の拡張工事は総工費が最大で5,000億コルナに上ると見られる大規模プロジェクトで、原子炉建設工事の入札には仏アレバ、米ウェスティングハウス、ロシアのアトムストロイエクスポルトなど原発プラント大手が名乗りを挙げている。CEZの当初計画によると、今秋にサプライヤーから最終提示案を受け取り、来年末に落札企業を決定。2020年に原子炉の稼動を開始することになっていた。コツォウレク産業貿易相は、金融危機のぼっ発により、電力需要や電力価格はプロジェクト発足時に予測されたような伸びは期待できなくなったと指摘。また、サプライヤー側からも入札の延期を求める声が挙がっているとして、建設計画が数年間延期されることもあり得るとの認識を示した。

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ニュースサイト『iHNed.cz』は、テメリン原発拡張工事の延長は、CEZの新たな投資戦略に合致すると指摘する。同社は電力価格の上昇を背景に収益を拡大させてきたが、金融危機の影響で電力価格は下落、現在はピークだった2008年を15%も下回っており、回復の兆しは見えていない。こうした状況を受けCEZは15年までの投資計画を1,000億コルナ縮小しており、テメリン原発拡張プロジェクトの延期もこうした路線に沿うものだと分析している。 

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