ポーランドとロシアの両政府は10月29日、2年来の懸案となっていたガス長期供給契約に調印した。これにより、冬の到来を前に懸念されていたポーランドのガス不足は回避できるもようだ。ただ、欧州委員会は新契約の内容が欧州法に触れないかどうかをまず確認するとして、今回の取り決めへの態度を留保している。
\ポーランドのガス供給独占体であるPGNiGによると、新契約により、ロシアからポーランドへの年間ガス供給量は、旧契約の74億5,000万立方メートルから102億立方メートルへと約38%増加する。契約期間は2019年までで、2045年まで延長できる。契約規模は年間85億ズロチ(29億4,000万米ドル)。契約に定められた割引条項をフルに活用すれば、2014年末までに2億5,000万ドル相当の調達費軽減が見込めるという。
\今回の契約をめぐる交渉は2009年2月に開始された。ガス輸送をめぐるロシアとウクライナの対立を背景に、ガスプロムの関連会社であるRosUkrEnergoがポーランドへのガス供給を中止したことがそのきっかけだ。今年1月、両国は一旦、長期契約で合意に至った。しかし、欧州委員会が、ガス供給会社の公正競争を保障する欧州法の規定に契約内容が違反すると認定したため、改めて交渉の席についていた。ポーランドはこれまで、ロシアと短期契約を結び、供給中止で不足する23億立方メートルを補ってきた。
\ポーランドの年間ガス消費量は現在、約140億立方メートル。今年はこのうち90億立方メートルを、来年は97億7,000立方メートルをロシアから調達する。残りはドイツからの輸入と国内生産分でまかなう。ポーランドはロシアへの依存を弱めるため、シェールガスの生産に力を入れており、これまでに60件の探査権を付与している。
\