ロシアのメドベージェフ政権は「国家の近代化」を目標に掲げ、石油やガスなどの天然資源に依存する経済構造からの脱却を目指している。その目玉事業のひとつが、モスクワ近郊スコルコボで計画されている技術革新センターだ。約600ヘクタールの敷地に建設される同センターにエネルギー、IT、通信、バイオ、原子力などの先端技術産業を集積させ、14年までに最大4万人が働く「ロシア版シリコンバレー」に育てるというもので、多くの欧米大手企業が進出を表明している。
\スコルコボ進出にいち早く名乗りを挙げたのは、ネットワーク機器世界最大手の米シスコシステムズ。昨年6月下旬に訪米したメドベージェフ大統領の立ち会いのもとスコルコボ・センターの建設・運営に当たる「スコルコボ開発基金」と覚書を交わし、開発拠点を設ける計画を明らかにした。米マイクロソフトは、スコルコボにソフトウエア研究開発センターを設立するほか、同地に新設される工科大学を支援する。米インテルは、スコルコボを拠点にインターネット経由で情報処理サービスを提供するクラウドコンピューティングのプロジェクトを展開、リナックス・ベースの携帯機器向けソフトウエア・プラットフォーム「ミーゴ(MeeGo)」の研究開発プロジェクトも予定している。米ボーイングは、ロシア最大のソフトウエア開発会社ルクソフトとエンジニアリング大手プログレステックと共同でモスクワデザインセンターの支部をスコルコボに開設する。このほか、蘭フィリップスや独シーメンス、フィンランドのノキアも研究開発拠点を開発すると表明しており、米IBMと印タタ・グループが進出を検討している。
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