人口減少と高齢化に伴う政府支出の増加で、ロシアの国家債務が2050年までに国内総生産(GDP)の5.85倍へと急激に膨らむ危険があることが、格付け大手のスタンダード&プアーズ(S&P)の8日付リポートで明らかになった。人口1人当たりGDPの成長で経済がうるおう2015年までは国債格付けが引き上げられるが、それ以降は年金予算が拡大し、格下げ圧力が高まるとみている。
\S&Pによると、ロシアの格付けは現在、「投資不適格」を2段階上回る「トリプルB」となっている。2015年までは、現在より3段階上の「シングルA」まで引き上げられる可能性がある。その後は人口1人当たりGDPの成長が財政悪化に追いつかない形となり、GDPに対する年金予算の比率は昨年の9.4%から2050年には18.8%に拡大する見通しだ。その結果、2035年までに格付けが「投機的」水準まで下がる危険があるという。ただし、S&Pでは財政支出削減などの措置がとられた場合はこの限りではないと断っている。
\ロシア人口は2010年の1億4,000万人から2050年までに1億1,600万人に減少するとみられる。同時に、老年人口(65歳以上)を生産年齢人口(15~64歳)で割った老年従属人口指数は18%から39%に膨らむ見通しだ。ロシア人口は1991年以来、すでに640万人減少している。
\バンクオブアメリカ・メリルリンチ・グローバルリサーチのモスクワ事務所で主任エコノミストを務めるチャカロフ氏は1月のリポートで、ロシアの生産年齢人口はすでに2005年にピークに達し、中国(2025年)やブラジル(2030年)、インド(2045年)といった他の新興諸国に比べてずっと早く人口の老齢化がスタートしたと指摘している。
\ \■年金支給年齢の引き上げも
\ \クドリン財務相によると、政府は年金の支給開始年齢の引き上げを検討しているもようだ。年金受給者100人に対する就業者の数は現在128人に上るが、その数は2年後には112人、2030年までには100人に下降する見通しだ。年金生活者の数が急速に増加する2020年代以降、財政負担が重くなると予測される。ロシアの年金受給開始年齢は男性が60歳、女性が55歳。
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