中・東欧、CIS諸国、ロシアに特化した情報誌

2011/3/9

ロシア

ロシア電気通信大手4社、次世代携帯網構築で提携

この記事の要約

ロシアの電気通信大手4社と携帯ブロードバンド通信事業者のスカルテルは3日、第4世代(4G)移動通信網の共同構築で合意した。提携を通じて整備コストを削減するとともに、次世代携帯事業での出遅れを防ぐ狙い。今後3カ月で詳細を詰 […]

ロシアの電気通信大手4社と携帯ブロードバンド通信事業者のスカルテルは3日、第4世代(4G)移動通信網の共同構築で合意した。提携を通じて整備コストを削減するとともに、次世代携帯事業での出遅れを防ぐ狙い。今後3カ月で詳細を詰める予定だが、業界アナリストの間では、4G技術の導入は時期尚早として、交渉が最終合意に至るかどうかを疑問視する声もある。プーチン首相とシェゴリェフ通信相が合意に立会ったことから、政府が通信大手を提携に動かした可能性が指摘されている。

\

今回提携するのはスカルテルのほか、モバイル・テレシステムズ、メガフォン、ビンペルコムの携帯大手3社と、国営通信ロステレコムの計5社。スカルテルのLTE技術「Yota」を採用し、2014年までに国内180都市で人口1億8,000万人をカバーする通信網を構築する計画だ。投資額は20億米ドルに上る見通し。

\

電気通信4社は2014年にスカルテル株を20%買収するオプション権を得る。この権利が行使された場合、スカルテルに現在25.1%を出資する国営持ち株会社ロステクノロジーの持ち株比率は20%に縮小する。また、民間投資会社のTelconet Capitalは保有する74.9%をすべて売却することになる。

\

今回の提携は国内大手の4G事業参入を保証する一方、他社の参入を阻害する可能性を秘めている。アナリストらの見方では、政府は4G事業者を提携に参加する4社に限定する意向だ。ロシア事業を展開するスウェーデンのテレ2は、以前から4G通信網整備のノウハウを提供する姿勢を示していたが、今回の提携には参加を許されなかった。

\

ドイツの高級紙『フランクフルターアルゲマイネ』によると、スカルテルは3年前に設立された。すでに4G通信サービス「Yota」を市場投入しており、2010年末には75万7,000人の顧客を数えた。2010年売上高は37億ルーブル(9,500万ユーロ)、営業利益(EBITDA)は3億8,500万ルーブル。(1RUB=2.94JPY)

\