2011/5/4

ロシア

ガスプロム、欧州向けガス販売価格の引き上げを検討

この記事の要約

ロシアの天然ガス最大手ガスプロムは先ごろ、欧州の顧客向けの天然ガス販売価格を今後さらに引き上げる見通しを明らかにした。同社のミレル社長によると、長期契約を交わしている欧州顧客への1,000立方メートル当たりの今年の販売価 […]

ロシアの天然ガス最大手ガスプロムは先ごろ、欧州の顧客向けの天然ガス販売価格を今後さらに引き上げる見通しを明らかにした。同社のミレル社長によると、長期契約を交わしている欧州顧客への1,000立方メートル当たりの今年の販売価格は、最終的に平均約500米ドルとなるという。ロイター通信が4月25日報じた。

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欧州では消費する天然ガスの4分の1をガスプロムから調達している。長期契約に基づく販売価格は原油価格に連動しているが、北アフリカや中東での政情不安を背景に原油価格は年初から急騰し、1バレルあたり120米ドルを超えて2008年以降で最高水準に達している。このため、ガスプロムはすでに2月に欧州向け販売価格を308米ドルから352米ドルに引き上げ、今年第1四半期の平均販売価格は346米ドルに上昇した。

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さらに、日本の原発事故により原子力エネルギーへの風当たりが強まる中、天然ガスの需要が今後一段と拡大することは必至で、ガスプロムにとってはガス価格引き上げの環境が有利になることが予想される。

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■10年は過去最高益に

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ガスプロムが4月28日発表した2010年連結決算(国際会計基準IFRS)は、純利益が前年比26%増の9,979億ルーブルとなり、過去最高を記録した。税引き前利益は30%増の1兆2,737億ルーブル、売上高は20%増の3兆5,970億ルーブル。ガス価格の高め安定や独立国家共同体(CIS)向けの輸出量の増加、競合ノバテク株の売却などが大幅な増収増益に貢献した。

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主力の天然ガスの売上高は14%増の2兆1,862億ルーブル。CIS向けは、輸出量の24%増加に加え輸出価格が平均10%上昇したことから、45%増の1,402億ルーブルに拡大した。ロシア国内向けも規制対象の販売価格が徐々に引き上げられ、27%増の6,368億ルーブルとなった。一方、CISを除く欧州など国外向けは1%減の1兆992億ルーブルに縮小。長期契約の販売価格が原油価格に9カ月遅れで連動することやルーブル安で平均輸出価格が3%減少したことが響いた。

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また、昨年12月にロシア2位の天然ガス会社、ノバテクの株式9.4%を売却したことにより、774億ルーブルの売却益を計上した。

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同社は今年の天然ガス輸出量について、昨年の1,390億立方メートルから1,510億立方メートルに拡大すると予想。今年第1四半期の業績についても、欧州の厳冬やスポット価格の上昇で大幅な増収増益が期待できるとした。(1RUB=2.95JPY)

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