2011/5/4

ロシア

ロシアがガソリン輸出停止、国内の供給不足解消で

この記事の要約

ロシア政府は4月28日、国内のガソリン不足を解消するため5月にガソリンの輸出を停止することで国内の石油会社と合意した。さらにプーチン首相は、エネルギー省にガソリン輸出税の引き上げを指示。RIAノボスチ通信によると、ガソリ […]

ロシア政府は4月28日、国内のガソリン不足を解消するため5月にガソリンの輸出を停止することで国内の石油会社と合意した。さらにプーチン首相は、エネルギー省にガソリン輸出税の引き上げを指示。RIAノボスチ通信によると、ガソリン輸出税は5月1日から44%増の1トン当たり408.3米ドルに引き上げられた。ロシアではこれまでに、西部のトムスク州、ベルゴロド州、ボロネジ州やカザフスタン・モンゴルと国境を接するアルタイ地方、極東のノボシビルスク州、サハリン州などでガソリン不足が報告されている。

\

ロイター通信や現地英字紙「モスクワ・タイムズ」は今回のガソリン不足について、プーチン首相が今年2月、石油会社に国内のガソリン価格の上昇抑制を要請したことが引き金になったと指摘している。北アフリカと中東の政情悪化で原油やガソリン価格は世界的に高騰しており、収益増のチャンスを生かしたい国内の石油会社が国内市場向けのガソリンを輸出に回す結果になったという。中国やトルコ、カザフスタンに欧州連合(EU)の旧排ガス規制「ユーロ2」水準の低質なガソリンを輸出する動きが強まり、同水準のガソリンの輸出量が1-3月期に40%増加したという情報もある。ロシアでは今年1月で「ユーロ2」適合のガソリンの販売が禁止される予定だったが、いまだに実施されていない。

\

一方、ハイオクガソリンの国内需要が増加したこともガソリン不足に拍車をかけている。政府が景気対策として導入した新車買い替え奨励策などによって、国内ではハイオクガソリンを必要とする新車の販売が増加している。国内で生産されるハイオクガソリンの9割は国内市場で消費されているものの、プレミアムガソリンを量産するための製油所の近代化は遅れており、供給不足が懸念されている。石油会社はガソリンの輸出停止や輸出税の引き上げに不満を示しており、政府は製油設備の近代化を促進するための税制優遇策などを検討する考えを明らかにしている。

\