2011/5/18

総合・マクロ

中東欧大手企業の2010年売上総額、危機前の水準に回復

この記事の要約

中東欧の大手企業の多くが経済危機をうまく乗り切ったようだ。コンサルティング大手のローランドベルガーが13カ国の1,200社を対象に実施した調査によると、2010年の売上総額は危機前の水準に達した。投資家による企業価値評価 […]

中東欧の大手企業の多くが経済危機をうまく乗り切ったようだ。コンサルティング大手のローランドベルガーが13カ国の1,200社を対象に実施した調査によると、2010年の売上総額は危機前の水準に達した。投資家による企業価値評価も同じ傾向を示している。ただ、生産効率の改善幅は危機前の平均10%から6.6%に低迷しており、この傾向は今後数年続く見通しだ。今年は営業利益(EBIT)が拡大する一方で、営業利益率は回復が遅れるもようだ。

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優良企業と不振企業との格差は拡大しており、危機がその傾向にさらに拍車をかけた。調査対象企業の30%が危機の最中にも増収増益を確保したのに対し、不振企業の業績は2004年以来、頭打ちの状態だ。また、年商5,000万ユーロ以下の企業は、危機への対応が遅れたり、対処の余地が小さかったりしたため、大手企業にさらに水をあけられる結果となった。

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ポーランド、チェコおよびオーストリアの企業は2005~07年の増収率が年平均7%となり、それぞれの国内総生産成長率を大きく上回った。ポーランドは、ドイツ政府による新車買い替え奨励策で自動車産業への打撃が小さかったことや、国内需要に支えられて成長を達成した。オーストリア企業は事業の国際展開が強みとなった。

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業界別では建設・不動産、サービス、流通・消費財の各業界が増収率・増益率(EBITベース)ともに他をリードした。ただ、建設業界はプロジェクト期間が長いために危機が波及するまでに時間がかかったという事情があり、これから影響が出る見通しだ。

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中東欧企業の自己資本比率は西欧企業に比べて高い。他人資本の調達機会が限られていることがその理由だ。総資本に占める現金の割合は2010年に平均8.8%で、前年から1.1ポイント上昇した。

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調査対象となった企業を国籍別にみると、ポーランドが354社と最も多く、これにロシア(215社)、トルコ(195社)、オーストリア(110社)が続いた。

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