2011/5/25

総合・マクロ

中東欧・中央アジアの経済好調、欧州開発銀が成長予測を上方修正

この記事の要約

中東欧と中央アジアの経済回復が進んでいる。欧州復興開発銀行(EBRD)は19日、同地域29カ国における今年の経済成長率の予測を従来の4.2%から4.6%へと上方修正した。来年は4.4%となる見通しだ。ただ、債務問題にゆれ […]

中東欧と中央アジアの経済回復が進んでいる。欧州復興開発銀行(EBRD)は19日、同地域29カ国における今年の経済成長率の予測を従来の4.2%から4.6%へと上方修正した。来年は4.4%となる見通しだ。ただ、債務問題にゆれるユーロ圏への輸出に経済が依存していることから、中南米、アジアの他の新興諸国と比べると成長の勢いは弱くなっている。

\

トルクメニスタン(10%)、モンゴル(9%)、カザフスタン(7%)などの資源生産国では平均を上回る成長が予測される。中欧およびバルト諸国は従来予測の3.2%から3.5%に上方修正。来年も3.3%を見込む。ウクライナは今年、来年ともに4.5%、ロシアは今年4.6%、来年4.7%、トルコは今年6%、来年4.5%の見通し。

\

南欧を除くと設備投資が次第に増加しているのも明るい材料で、ルーマニア、ポーランド、ロシア、エストニア、リトアニアでは確実に経済成長に貢献している。また、トルコ、ポーランド、ウクライナ、ラトビアでは個人消費が拡大している。一方、バルカン諸国は金融業界におけるギリシャ系銀行の重要性が高く、経済回復の足かせになっている。

\

今後の最大のリスクとしてはインフレを挙げる。所得が小さい中東欧では西欧に比べて食品価格の上昇が大きな負担となるからだ。一方で、ウクライナ、トルコ、モンゴル、ベラルーシの貿易赤字拡大については、額が大きくなく、輸出産業の好調を示すものであれば大きな懸念に値しないとの見方だ。

\

中東欧は対欧州輸出の重要性が高いため、他の新興国よりも回復は緩やかで、ロシアなど多くの国で国内総生産(GDP)が金融危機前の水準に回復するのは来年になる見通し。

\