2011/6/1

ロシア

ロシア中銀、預金金利を引き上げ

この記事の要約

ロシア中央銀行は31日、翌日物預金金利を0.25ポイント引き上げ3.5%に設定した。穀物禁輸の解除が決まり、物価上昇リスクが拡大したことに対応した。また、資本の国外流出を食い止める狙いもあるようだ。景気の減速でアナリスト […]

ロシア中央銀行は31日、翌日物預金金利を0.25ポイント引き上げ3.5%に設定した。穀物禁輸の解除が決まり、物価上昇リスクが拡大したことに対応した。また、資本の国外流出を食い止める狙いもあるようだ。景気の減速でアナリストの多くが金利据え置きを予想していたため、市場は今回の措置を驚きをもって受け止めている。

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政策金利であるリファイナンス金利と、翌日物レポ金利はそれぞれ8.25%と5.5%に据え置いた。いまだにエンジンがかかりきらない経済に配慮した格好だ。4月の経済指標が失業率の上昇、鉱工業生産の成長減速、資本投資の低迷を示すなか、中銀は利上げが安定的な景気回復を阻害しかねないと判断した。

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一方で、インフレ抑制は火急の課題だ。年間インフレ率は23日時点で9.7%に達し、中銀目標の6~7%を大きく上回っている。中銀は下半期に物価上昇の勢いが鈍るとみているが、同時に食品価格の上昇や公共部門での賃上げといった懸念要因があると指摘している。投資銀行ルネサンス・キャピタルはこれに加え、国会選・大統領選を前に公的年金の引き上げなど国家支出が増加することもインフレを促進しかねないとみる。ブルームバーグ通信の調べによると、今年のロシアインフレ率のアナリスト予想中央値は9.05%。

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ロシアからの資本流出は、過去7カ月で500億米ドルを超えた。アナリストらは、中銀が今回の預金金利引き上げでこの動きを食い止めることも狙っているとみる。資本流出の一番の原因が金融緩和政策にあるためだ。それでも、ロシアの金利はまだ低水準で、金利の低い通貨で資金を調達し、金利の高い通貨で運用する「キャリー取引」で資金を呼び込むのは難しいという。

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