2011/6/8

チェコ・スロバキア

ドイツの脱原発、チェコに明暗

この記事の要約

ドイツの脱原発はチェコの電力大手CEZの増益に寄与する見通しだが、国内の電気料金の上昇でチェコ産業界の国際競争力が弱体化する恐れもある。現地の複数メディアがこのほど報じた。\ ドイツの与党3党は5月末、福島原発事故を受け […]

ドイツの脱原発はチェコの電力大手CEZの増益に寄与する見通しだが、国内の電気料金の上昇でチェコ産業界の国際競争力が弱体化する恐れもある。現地の複数メディアがこのほど報じた。

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ドイツの与党3党は5月末、福島原発事故を受けた反原発の世論に押され、国内原発を2022年末までに全廃することで合意した。同国では3月中旬以降、老朽7原発と事故のため以前から運転を停止していた1原発の計8基が稼働を停止しているが、今回の合意では同8原発を再稼働せずに廃炉とする方針が決まった。残りの9基も2022年までに順次停止する。原発が昨年の国内発電量に占めた割合は23%。そのうち8%が老朽化した7基によるものだった。

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ドイツ政府が福島原発事故を受け同7基を停止させて以来、ドイツがチェコから輸入する電力量は増加。ドイツの欧州エネルギー取引所(ライプチヒ)だけでなくチェコの中欧電力取引所(プラハ)の取引価格も上昇した。このため、投資銀行Wood & Coのアナリストは、ドイツの脱原発で、チェコ最大の発電業者CEZは長期的な収益増が期待できると予想している。

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一方、チェコ政府は、ドイツの原発全廃でチェコ国内の電気料金は今後10年で30%上昇すると予想。国内産業の競争力低下につながると危惧している。電気料金はドイツの老朽原発7基が停止した後、すでに10%上昇したという。

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CEZは国内のテメリン原発を増設する計画。ただ、隣国のオーストリア政府やドイツの世論は同計画に反対しており、チェコ政府は両国の圧力を警戒している。

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