2011/6/22

ポーランド

中国海外工程集団との契約解除

この記事の要約

ポーランド政府は13日、中国海外工程集団(COVEC)との高速道路建設契約を解除した。同社の資金難で工事が遅れ、再開に向けた交渉が物別れに終わったためだ。中国企業が欧州の大型建設工事を受注した初のケースだっただけに、今後 […]

ポーランド政府は13日、中国海外工程集団(COVEC)との高速道路建設契約を解除した。同社の資金難で工事が遅れ、再開に向けた交渉が物別れに終わったためだ。中国企業が欧州の大型建設工事を受注した初のケースだっただけに、今後、中国の建設会社が欧州市場に進出するハードルが高くなるとみられる。また、COVECの受注価格が予想価格を大幅に下回り、ダンピングを疑う声があがっていたことから、来年の欧州サッカー選手権開催に向けたインフラ整備を最優先課題とするトゥスク首相への批判が高まりそうだ。

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今回、契約が解除されたのは、ワルシャワとベルリンを結ぶA2号線のうち、起点となるワルシャワからの2区間(49.2キロメートル)。メディア報道を総合すると、COVECは昨年7月の着工以来、1億4,000億米ドルを投じて約5分の1を完成させた。しかし、下請け業者に対する報酬支払いが滞り、これらの業者が5月中旬、工事を中止した。買掛債務は1億3,000万ズロチ(3,300万ユーロ)に上るという。

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政府は多数の建設会社と接触し、来月中の工事再開を模索している。COVECに対しては、下請け業者に対する報酬未払い分を即刻決済すると同時に、7億4,100万ズロチ(2億7,110万ユーロ)の損害賠償を求めている。

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COVEC側は、政府が契約後に数々の新たな条件を提示したことや、材料費の高騰で予算オーバーとなったと説明。政府と価格交渉に臨んだが、要求が受け入れなかったと主張している。

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政府は来年、ウクライナと共催する欧州サッカー選手権に向けて、インフラ整備を急ピッチで推進中。しかし、他の高速道路やワルシャワとグダニスクのスタジアム、市内交通整備などでも工事が遅れており、秋の国政選挙で政府が不利に立たされるとの観測が浮上している。(東欧経済ニュース6月15日号「中国海外工程集団、ポーランド高速道建設から撤退」、2009年9月9日号「A2号線のウッジ~ワルシャワ間、建設4社が受注」を参照)

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