2011/7/13

ロシア

独エーオン、供給契約変更でガスプロムと合意できず

この記事の要約

独エネルギー最大手エーオンとロシア国営ガスプロムの長期ガス供給契約の変更をめぐる交渉は、合意に達しないまま交渉期限の6月30日を迎えた。7月末まで交渉が再延長される可能性もあるが、独メディアによると、より安くフレキシブル […]

独エネルギー最大手エーオンとロシア国営ガスプロムの長期ガス供給契約の変更をめぐる交渉は、合意に達しないまま交渉期限の6月30日を迎えた。7月末まで交渉が再延長される可能性もあるが、独メディアによると、より安くフレキシブルなガス価格を求めるエーオンが国際調停機関に訴える可能性もある。エーオンはこの件に関し、コメントを拒否。ガスプロムは「(法的手段をとるのは)エーオンの権利だ」と応じた。

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欧州ではここ数年、ガスが供給過剰となり、卸取引市場のスポット価格が下落している。背景には、米国がシェールガス開発でガス自給国となり、カタールなどが液化天然ガスの供給先を米国から欧州に切り替えたことなどがある。一方、エーオンや独RWE、仏GDF、伊エニなど欧州の大手エネルギー企業はガスプロムと長期のガス供給契約を結んでおり、原油価格に連動した割高なガスを購入しなければならない。RWEによると、欧州のエネルギー企業が昨年、使用しなかったガスのためにガスプロムに支払った金額は34億米ドルに上ったという。また、エーオンはガス子会社ルールガスの今年の損失が約10億ユーロに上ると予想している。

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国際エネルギー機関(IEA)によると、2000年に39%だったガスプロムの欧州市場におけるシェアは08年に29%に下がり、昨年は24%まで低下した。一方、ガス価格を30%割引したノルウェーは過去3年で同シェアを15%から17.5%に伸ばした。ガスプロムがこれまでに応じた割引幅はわずか3%。同社は増収を確保するため、今後もガス価格の原油価格への連動を堅持する方針だ。

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独経済誌『ハンデルスブラット』によると、エーオンはガスプロムとの交渉で、暖房用と火力発電用のガス価格に差をつけることも要求した。ドイツでは脱原発政策に伴い、今後、ガス火力発電所が増設される見通しだが、採算が上がるまでには時間がかかるとみられることから、発電用のガス価格の引き下げを求めたという。一方、ガスプロムはドイツが原発全廃を決めて以来、ドイツの発電市場への参入に野心を見せており、エーオンへの資本参加を価格引き下げの条件にしたもようだ。

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