2011/8/3

ハンガリー

ハンガリー中銀、政策金利6%で据え置き

この記事の要約

ハンガリー中央銀行は7月26日、政策金利を6%に据え置いた。金利維持の判断は6カ月連続。急速な内需回復が見込めない現状を踏まえ、現行金利でもインフレ率が次第に低下するとの見方を確認した。昨年11月から今年1月にかけて実施 […]

ハンガリー中央銀行は7月26日、政策金利を6%に据え置いた。金利維持の判断は6カ月連続。急速な内需回復が見込めない現状を踏まえ、現行金利でもインフレ率が次第に低下するとの見方を確認した。昨年11月から今年1月にかけて実施した金融引き締め策以上の措置は、現時点では必要ないとの立場だ。

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金融政策委員は6月20日の前回会合で、2012年末までにインフレ率を3%以下に引き下げる目標を達成するため、現行の金利水準を長期間維持する必要性が生じる可能性を指摘した。今回の会合でもこの見方を再確認した。

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中銀の景気観測によると、今後2年は緩やかな景気拡大が続き、内需も急速な回復は見込めない。直近のコスト上昇のショックが過ぎ去った後は、内需の低調や高失業率、管理価格のおだやかな変更といった要因でインフレが減速する。このため、インフレ目標の達成に、新たな利上げの必要はない。

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短期的にみれば、ハンガリーの経済成長は引き続き外需が主導する。世界経済はやや減速する見通しだが、ハンガリーでは自動車産業を中心に大型投資が予定され、その影響が相殺される。輸出の好調と内需の低調を反映し、貿易黒字は高水準を維持する。

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最新データによると、家計支出がかすかに上昇の兆しを示している。民間年金基金からの実質運用益の支払いで一時的に支出が拡大する可能性がある。一方で、スイスフランの対フォリント為替相場上昇が原因となり、外貨建て債務の月賦が増えて家計負担が増すこともありうる。長期的にスイスフラン高が続けば家計支出の伸びが抑制され、インフレ率を引き下げる効果がある。

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ユーロ通貨危機の先鋭化によるリスク回避傾向は、中東欧地域にも影響を及ぼす。ハンガリーにとっては、国債利回りや銀行間取引金利の上昇、先進国通貨に対するフォリント安、ユーロ圏の経済活動の減速による外需の縮小といったリスクが考えられる。最大のリスク要因としては、欧州通貨危機の継続を挙げている。

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6月のインフレ率は前月比0.4ポイント減の3.5%となり、2カ月連続で改善した。

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