中東欧諸国における景況感が悪化している。トムソンロイターとオーストリア輸出銀行(OeKB)が10日に発表した7月の景況感総合指数は5ポイント減の30となり、2007年以来の平均値である29をかろうじて上回った。現時点での景況判断が良好なのに対し、今後6カ月の予想では慎重な見方が強まっている。
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国別では、欧州連合(EU)加盟交渉が完了したクロアチアで大きく改善した。一方でポーランドとスロベニアで悪化が目立った。業種別では製造業の落ち込みが目立った。
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現在の業況を「良い」と判断する企業が43%に上ったのに対し、「悪化した」企業は14%にとどまった。しかし、今後6カ月の見通しを占めす期待指数は8ポイント減の31に下落。今後12カ月の経済成長の傾向を示唆するマクロ経済予測指数も4ポイント低下した。
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見通しが悪化しているのを受けて、企業の投資意欲も減退しており、新規参入計画の数は4月の54件から39件へ減少した。既存拠点を強化する計画の数は4月の水準を維持した。中東欧事業に引き続き力を入れる一方で、新規市場開拓にはやや慎重になっている企業の姿勢が垣間見られる。
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■クロアチアで大幅改善、EU加盟交渉完了が追い風
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国別の動向をみると、EU加盟交渉が6月に完了したクロアチアで大きな改善がみられた。現状指数と期待指数の双方が上昇し、景況感総合指数は7ポイント増の23に達した。また、マクロ経済予測指数は22ポイントの急上昇を示した。
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総合指数の下げ幅が最も大きかったのはポーランドとスロベニアで、それぞれ10ポイント減少した。ただ、ポーランドの指数は48と同国の過去平均値の41を上回る水準だが、スロベニアは19と平均(33)を大きく割り込んでいる。
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■製造業、やや悲観的
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業種別では製造業界で景気の悪化が始まっているようだ。現況指数が5ポイント減ったのに加え、期待指数も11ポイント低下した。マクロ経済予測指数でも他の業界に比べて見方がやや悲観的となっている。
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金融業界をみると、銀行業の総合指数がやや改善したのに対し、保険業では10ポイントの大幅減となった。銀行業は現況指数が36と前回調査(4月)の水準を保ったが、保険業は17ポイント減の26へと急落した。期待指数は銀行が5ポイント改善した一方で、保険業は3ポイント減となった。
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中東欧諸国の景況感調査は、トムソンロイターとオーストリア輸出銀行(OeKB)が3カ月ごとに実施している。今回の調査は、アルバニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ブルガリア、エストニア、クロアチア、ラトビア、リトアニア、マケドニア、モルドバ、ポーランド、ルーマニア、ロシア、セルビア・モンテネグロ、スロバキア、スロベニア、チェコ、ウクライナ、ハンガリー、ベラルーシの中東欧19カ国で約1,400の子会社を運営するオーストリア企業400社を対象に実施された。
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