2011/8/31

総合・マクロ

中東欧で増加する不良債権・スイスフラン高騰が重荷に

この記事の要約

スイスフランの高騰が、中東欧の家計を苦境に陥れている。ハンガリーをはじめとする中東欧諸国ではスイスフラン建ての融資が普及しているが、このところのスイスフラン上昇により返済に行き詰るケースが増加。中東欧で事業展開する西欧の […]

スイスフランの高騰が、中東欧の家計を苦境に陥れている。ハンガリーをはじめとする中東欧諸国ではスイスフラン建ての融資が普及しているが、このところのスイスフラン上昇により返済に行き詰るケースが増加。中東欧で事業展開する西欧の大手銀行が抱える債権が回収不能となり、欧州の銀行システムに大きな打撃を与え、債務危機が深刻化する可能性がある。

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スイス大手銀行UBSの富裕層向け資産運用管理部門UBSウェルス・マネジメントの新興市場担当アナリスト、キリアン・リーバー氏によると、伊ウニクレディト、墺エルステバンク、ライフアイゼンバンク、独バイエルン州立銀行など西欧の大手金融機関は現在、ハンガリー、ポーランド、クロアチアの3カ国で総額800億スイスフラン相当の債権を抱えている。スイスフランは5月以降、対ハンガリー・フォリントで8%、対ポーランド・ズロチで14%、対クロアチア・クーナで10%それぞれ上昇し、借り手の返済負担が増大している。リーバー氏はブルームバーグとの電話インタビューで、これら3カ国では「スイスフラン建ての住宅ローンや消費者ローンの借り手への圧力が高まっている」と指摘。スイスフラン高がデフォルト(債務不履行)を誘発し、西欧銀行が新たな救済を求める事態に追い込まれ、ユーロ圏の債務危機が一層悪化する可能性が20~30%あるとの見方を示した。

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中東欧では自国通貨より金利が低いスイスフランやユーロ建てのローンの人気が高く、住宅ローンに占めるスイスフラン建ての割合はハンガリーで60%、ポーランドでは53%に上っている。UBSウェルス・マネジメントの調べによると、フラン建てローンの不良債権比率はハンガリーで10%超、ポーランドで1.5%、クロアチアで6%となっている。

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