2011/8/24

チェコ・スロバキア

スロバキア、若者の失業が深刻に

この記事の要約

スロバキア経済は、金融危機の打撃から急速に立ち直りを見せ、2010年の国内総生産(GDP)成長率は4.0%と、欧州連合(EU)加盟国でトップクラスの数字を記録した。その一方で、失業率は13%前後に高止まりしている。ブラチ […]

スロバキア経済は、金融危機の打撃から急速に立ち直りを見せ、2010年の国内総生産(GDP)成長率は4.0%と、欧州連合(EU)加盟国でトップクラスの数字を記録した。その一方で、失業率は13%前後に高止まりしている。ブラチスラバ経済大学のカロル・モルバイ教授は、経済の好調と高失業率が共存するスロバキアの現状について、「経済が成長軌道を回復しているのに労働市場の反応は極めて鈍い」と評する。

\

スロバキアの労働市場における問題点は、長期失業者の多さに加えて若者の失業率が高いことだ。同国ではチェコスロバキア時代から、ドイツ語圏で見られる教育と職業訓練を同時に進めるシステム(デュアルシステム)が普及していたが、体制転換以降に外資の流入が加速し、経営合理化の流れが強まる中で、若者の職業訓練の場を提供する企業が激減。学校は卒業したものの実務の経験のない若者が増加し、結果として失業率の上昇につながった。

\

スロバキアには共産主義時代に発展した重工業などの分野で優秀な技能を持った労働力が豊富で、労働コストが低廉なことから多くの外国企業の投資誘致に成功してきた。しかし近年は熟練労働者が不足する傾向にあり、優秀な人材の確保に苦慮する外国投資家の間で不満の声が挙がっている。モルバイ教授は、「スロバキアに進出してきた外資系企業の多くが、伝統的な職業訓練システムの存続には全く関心を持たずに既存の優秀で豊富な労働力を安価に利用することだけを考えてきたつけが回ってきている」と指摘している。

\
チェコ・スロバキア
COMPANY |
CATEGORY |
KEYWORDS |