2011/9/28

ロシア

プーチン氏が大統領選に出馬、メドベージェフ氏が首相に

この記事の要約

ロシアの政権与党「統一ロシア」は24日の党大会で、プーチン首相を大統領候補に、メドベージェフ大統領を下院選挙の筆頭候補および首相候補に指名した。これにより、さまざまな憶測が飛び交っていた次期大統領問題に決着がついた形だ。 […]

ロシアの政権与党「統一ロシア」は24日の党大会で、プーチン首相を大統領候補に、メドベージェフ大統領を下院選挙の筆頭候補および首相候補に指名した。これにより、さまざまな憶測が飛び交っていた次期大統領問題に決着がついた形だ。ただ、プーチン次期大統領は、世界経済の減速局面で就任することになり、前任期中に比べて難しいかじ取りを迫られそうだ。投資家の信頼が得られるような経済の自由化・近代化が進むのか、注目が集まる。

\

ロシアはプーチン氏の前任期中(200~08年)、世界経済の好調に乗って年平均7%の成長を遂げた。しかし、現在は世界経済減速の懸念に加え、欧州債務危機の影響も未知数だ。厳しい環境の中、石油に依存するロシア経済のもろさが露呈する可能性がある。前任期中に国家主導経済を推進したプーチン首相が本格的な改革を実行できるかを疑問視し、長期的成長を危ぶむ声もある。

\

また、経済後退が国民の不満を強め、政権基盤の弱体化をもたらすことも考えられる。ウラル原油価格が下落して通貨ルーブルの為替相場が下落すれば、食品や医薬品など輸入に頼る製品の価格が上昇し、国民の生活を圧迫する。また、次期大統領が強権的な政治体制を強化すれば、社会不安が政権に与える影響も大きくなる。

\

政府支出の増加も懸念材料だ。選挙前「恒例」の歳出増を批判し、経済と財政の安定に尽力してきたクドリン財務相が、メドベージェフ次期内閣への入閣を拒否したことも懸念を強めている。

\

\

■やはり「子飼い」の部下だった

\

\

プーチン氏とメドベージェフ氏は、1990年代にサンクトペテルブルグ市当局で一緒に働いて以来の仲だ。メドベージェフ氏はプーチン氏の大統領時代にガスプロム会長を務めたほか、大統領府長官にも任命された。

\

プーチン氏は大統領としての2期目の任期が切れる2008年に、メドベージェフ氏を候補に推薦した。大統領の連続3選を禁じるロシア憲法を改正しようという動きもあったが、「欧州最後の独裁者」といわれるルカシェンコ・ベラルーシ大統領と同列視されることを嫌い、「子飼い」の部下を代わりに出馬させた格好となった。

\

メドベージェフ氏は大統領就任後間もなく、2012年以降の大統領任期を現在の4年から6年に延長しており、プーチン氏は2024年まで大統領を務めることが可能となっている。実現すればその任期は、ソ連のブレジネフ書記長の18年を超える20年に達する。

\

次期大統領候補についてはこれまで、メドベージェフ氏が再出馬するかどうかに注目が集まっていた。ただ、同氏とプーチン氏の談話によると、すでに数年前から計画は決定済みで、発表のタイミングを待っていたということだ。

\

ロシアでは大統領に強力な権限が認められているが、この4年間に関しては、首相であるプーチン氏が実質的な権力者であった。今から振り返れば、メドベージェフ氏は、プーチン氏が大統領になれない4年間の穴を埋めるだけの役割だったようだ。

\

改革派を中心に、今回の決定に落胆する声もあがった。ドヴォルコヴィッチ大統領経済顧問はツイッターを通じて、党大会に「喜ぶ材料はない。(会場となった)体育館ではホッケーの試合を開催する方がいい」とのコメントを公開した。

\
ロシア
COMPANY |
CATEGORY |
KEYWORDS |