2011/10/5

ロシア

欧州委が中東欧のガス会社に立ち入り調査、標的はガスプロム

この記事の要約

欧州連合(EU)の欧州委員会は9月27、28日、中東欧のEU加盟国の複数ガス会社に競争法違反の疑いがあるとして、関係各社に立ち入り調査を行った。調査の対象となった企業はいずれもロシア国営ガス会社ガスプロムの子会社や出資、 […]

欧州連合(EU)の欧州委員会は9月27、28日、中東欧のEU加盟国の複数ガス会社に競争法違反の疑いがあるとして、関係各社に立ち入り調査を行った。調査の対象となった企業はいずれもロシア国営ガス会社ガスプロムの子会社や出資、供給先であり、標的がガスプロムであることは明らか。独ウェルト紙がエネルギー業界の関係者から得た情報によると、リトアニア政府が今年1月、ガスプロムが同国ガス市場で独占的地位を乱用していると欧州委に苦情を申し立てたことが、今回の調査の引き金になったもようだ。

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欧州委は2日間でドイツ、オーストリア、チェコ、ポーランド、リトアニア、エストニア、ブルガリア、スロバキアの関連企業を一斉調査した。証拠はまだないが、各国の天然ガス

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供給市場で競争を妨げる寡占や価格カルテルの疑いがあるという。調査対象となった独天然ガス最大手エーオン・ルールガスや独エネルギー大手RWE、墺同業のOMV、さらにガスプロムも調査に協力するとのコメントを発表した。

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EUは天然ガス需要の約25%をロシアに依存している。ガスプロムは同割合をさらに30%に引き上げる方針で、特に中東欧の天然ガス取引の中心であるオーストリアでは、同国のガス商社GWHを完全子会社化したうえ、OMV傘下のセントラル・ユーロピアン・ガスハブ(CEGH)に30%出資することも狙っている。

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一方、EUはロシアへのガス依存を減らすことに腐心している。また、ガスプロムが域内のガス供給市場への参入を強める動きは、欧州委が域内エネルギー市場の競争促進を目指して掲げる「生産・供給の分離」政策と真っ向から対立する。このため、今回の調査はロシアに対する欧州委の「EUのルールを守れ」という警告(ウェルト紙)だととらえられている。

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