2011/10/19

バルト三国

「ラトビアは債務危機克服の手本」=シュタルクECB専務理事

この記事の要約

先月辞意を表明した欧州中央銀行(ECB)のシュタルク専務理事は12日、ラトビアの首都リガで講演し、欧州債務危機によりユーロ圏の数カ国が今後、経済・財政分野での調整局面に入るに当たり、ラトビアが格好の手本となるとの見方を示 […]

先月辞意を表明した欧州中央銀行(ECB)のシュタルク専務理事は12日、ラトビアの首都リガで講演し、欧州債務危機によりユーロ圏の数カ国が今後、経済・財政分野での調整局面に入るに当たり、ラトビアが格好の手本となるとの見方を示した。

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ラトビアが「2008年の金融危機に端を発する経済後退の最中にも、通貨ラトのユーロ連動制(ペッグ制)を維持し、より厳しい『実質的な適応』を選択した」と評価した。具体的な措置としては、◇賃金引下げによる生産性の改善◇市場の信用回復を目指した財政均衡策◇中期的経済成長の確保に向け、企業の経営活動と労働市場に関する規制を緩和◇個人債務の縮小による金融システムの安定化――を挙げた。その上で、資金調達力の弱いユーロ採用国が通貨同盟の一員でありつづけるには、同様の施策が必要との認識を明らかにした。

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債務危機については、欧州連合加盟国間の経済格差だけでなく、ユーロ圏の数カ国で長期にわたって誤った財務政策が行われてきたことが原因だと述べた。その例として、公共部門を中心とする大幅な賃上げで生産性が低下した事実を挙げた。

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また、政治家に対しては、ユーロ圏の安定を図るための手段があったにもかかわらず、活用しなかったと批判した。今後の重要な課題は、ユーロ圏の経済政策機関を強化し、各国レベルでの財政規律を厳格化することにあるとし、必要であれば各国政府の権限を部分的に制限することもいとわない姿勢が求められていると話した。

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ドイツ出身のシュタルク専務理事は先月9日、個人的な理由で年内に辞任すると発表した。しかし、ECBの国債購入に強く反対していたことから、実際はこれに抗議しての決断とみられている。

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■ユーロ採用に変更なし

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ベルジンシ大統領はエストニアのイルヴェス大統領と11日会談し、ラトビアにとってユーロ導入が優先課題の一つであることを確認した。イルヴェス大統領も、「我々の将来は欧州と強く結びついている」と述べ、通貨同盟への加盟が両国にとって大きな意義があるとの考えを示した。

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エストニアは今年初めにユーロを導入した。ラトビアは14年の採用を目指している。

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