2011/11/9

ロシア

2011年資本流出額、700億ドル到達か

この記事の要約

ロシア中央銀行は、今年の同国からの資本流出額が最悪の場合、700億米ドルに達すると予測している。下院に提出した金融政策指針案で明らかになったもので、当初予測の360億ドル、先月の修正値の500億米ドルを大幅に上回る。金融 […]

ロシア中央銀行は、今年の同国からの資本流出額が最悪の場合、700億米ドルに達すると予測している。下院に提出した金融政策指針案で明らかになったもので、当初予測の360億ドル、先月の修正値の500億米ドルを大幅に上回る。金融市場の混乱を受けて、資金の引き揚げが急速に進んでいることが背景にある。

\

中銀は理由として、◇国際金融市場の不安定を背景に、外国の投資家が対ロシア投資に慎重になっている◇ロシアの投資家も、より良い投資環境を求めて外国に投資をする傾向にある――ことを挙げている。外貨準備高は安定しており、年内に227億ドルに増加する見通しという。

\

2011年1-9月期の流出額は493億ドルと前年同期の160億ドルの3倍以上に上った。特に、金融市場の混乱を受けて9月に流出が加速し、7-9月期の合計は187億ドルに膨らんだ。

\

1-9月期を振り返って、投資会社オトクリチエ・キャピタルのエコノミストは◇投資家がリスクの大きいロシア株式市場を回避◇預金金利が低水準で、通貨ルーブルが下落傾向にあったため、ロシアの輸出産業に属する企業は為替差益の一部を外国で運用した――と分析。これが多額の資本流出につながったと説明している。

\

今後についても大きな改善は見られないと予想する。

\

投資会社ウラルシブ・キャピタルのアナリストは、10-12月期はやや改善し、流出額が100~150億ドルに減ると予測している。欧州連合による安定化への努力で市場がやや落ち着き、ロシア経済の見通しが明るくなっているためと説明する。

\

一方で、ロシア国立大学経済高等学校(HSE)は、競争を促し、法治社会を確立させなければ資本の流出は止まらないと警鐘を鳴らしている。

\

2011年の流出額は353億ドル、2009年は561億ドルだった。

\