2011/11/23

ロシア

ロシア、エネルギー政策でEUと対決

この記事の要約

ロシア政府がエネルギー政策をめぐって欧州連合(EU)と対決する姿勢を強めている。エネルギー市場自由化の徹底に向けて、生産事業と輸送網運営事業を分離するEUの方針を、ガスプロムに対する「強奪行為(プーチン首相)」とみて、徹 […]

ロシア政府がエネルギー政策をめぐって欧州連合(EU)と対決する姿勢を強めている。エネルギー市場自由化の徹底に向けて、生産事業と輸送網運営事業を分離するEUの方針を、ガスプロムに対する「強奪行為(プーチン首相)」とみて、徹底抗戦する構え。同方針にはドイツやフランスなどが強く反対していた経緯もあり、ロシア政府はドイツ企業と共同で対策を練る方向にも動き出している。

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ロシア政府は16日、世界貿易機関(WTO)への加盟を見越し、WTOの規定を運用して「ロシアの国益を守れるかどうかを調査中」と発表した。EUの方針がまともに適用されると、ガスプロムが欧州の送ガス事業の一部を手放さなければならなくなるのがその理由だ。EU側は、エネルギーパッケージがWTOの規定に抵触しないとして、WTOを交えずにロシアとEUの間で解決する問題だとの立場を明確にしている。

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ガスプロムは売上の52%を欧州市場に頼っており、欧州事業の行方が業績に直接影響する。ロシア政府は、ガスプロムが欧州との長期契約に基づいて、ガスを確実に供給できるよう大型投資を行ったが、EUの方針に従えば、その資本回収ができなくなると抗議している。これを根拠に、「ノルド・ストリーム」などの大型パイプラインを事業分離の対象から除くことをEUに求めていく姿勢だ。

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ロシアはこの点で孤立しているわけではない。73億ユーロを投じたバルト海海底パイプライン「ノルド・ストリーム」が8日、正式に稼動するに当たり、メルケル独首相はエッティンガー欧州エネルギー委員に対し、ロシアの抗議に柔軟な対応を示すよう強く求めた。

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ガスプロムは独BASF子会社のヴィンタースハルと合弁ガス輸送会社ウィンガスに50%マイナス1株を出資する。ウィンガスはノルド・ストリームからドイツと中東欧に向けて天然ガスを供給するルートであるバルト海パイプラインリンク(OPAL)と北ドイツ天然ガスライン(NEL)を運営している。

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