2011/12/7

ロシア

与党「統一ロシア」の支持率激減、市場は改革進展に期待

この記事の要約

4日のロシア下院選挙でメドベージェフ大統領率いる与党「統一ロシア」が大きく議席を減らしたことで、市場関係者は政府が改革に本腰を入れるきっかけになるのではと期待を膨らませている。プーチン首相の政権基盤である「統一ロシア」に […]

4日のロシア下院選挙でメドベージェフ大統領率いる与党「統一ロシア」が大きく議席を減らしたことで、市場関係者は政府が改革に本腰を入れるきっかけになるのではと期待を膨らませている。プーチン首相の政権基盤である「統一ロシア」に投票しなかった層から支持を得るには、司法の中立や法治国家の確立、汚職対策の本格化が必要というのがその理由だ。一方で、来年3月の大統領選挙に向けて、プーチン首相が政府支出を拡大すると予測し、インフレを懸念する声も出ている。

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ドイツの投資会社、ヴェルムート・アセット・マネジメントは、選挙前の恒例となっている政府の社会予算増額に懐柔されなかった有権者が、法治国家への転換を求めていると指摘する。4,700万人のインターネットユーザーに代表される中間層は自らの利益を代表する議員が下院に存在しないと感じており、これらの人々が変化を感じられる改革が必要と説く。それには、汚職高官に懲役刑を課すなど、行動をともなう措置をとらなければならないという。ただ、最左翼の共産党が大きく票を伸ばしたことで、社会支出の増額を懸念する声が複数の投資銀行からあがっているのも確かだ。

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共産党と「公正ロシア」の勝利の原因についてヴェルムートとアルファバンクは、有権者の「統一ロシア」への反発が理由で、必ずしも両党の政策を支持するものではないとみる。この点からも、プーチン首相が支持を奪回するには、社会保障の強化ではなく改革が求められるというわけだ。

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ロシア下院選挙で「統一ロシア」の得票率(開票率:95.71%)は49.54%と2007年の前回選挙に比べて15ポイント近く落とした。議席数も改選時の315から238となり、憲法改正に必要な3分の2の議席維持はならなかった。ただ、過半数は確保したため、通常の政権運営には支障がないとみられる。

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共産党は得票率19.16%で92議席(改選時:57)、公正ロシアは13.22%で64議席(38)、自由民主党は11.66%で56議席(40)を得る見通し。他の政党は7%の得票を義務付ける阻止条項をクリアできず、議会に代表を送れなかった。投票率は60.2%で前回を3ポイント下回った。

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