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2012/4/4

ポーランド

年金改革案に反対、数万人が抗議行動

この記事の要約

政府が計画する年金改革に反対し、労働組合「連帯」の支持者など数万人 が30日、ポーランド下院前で抗議行動を行った。年金受給開始年齢を現在の男性65歳、女性60歳から一律67歳に引き上げることに反発したものだ。抗議行動中、 […]

政府が計画する年金改革に反対し、労働組合「連帯」の支持者など数万人 が30日、ポーランド下院前で抗議行動を行った。年金受給開始年齢を現在の男性65歳、女性60歳から一律67歳に引き上げることに反発したものだ。抗議行動中、下院では「連帯」が提出した、年金改革の是非を問う国民投票の実施案をめぐって議論が戦わされた。最終的に反対233票、賛成180票、保留41票で否決された。

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受給年齢の引き上げについては政府内でも意見の相違があり、トゥスク首相率いる市民プラットフォーム(PO)と農民党(PSL)の連立が解消するかとさえ思われた。結局、男性は65歳、女性は62歳で早期退職を可能とし、法定の受給年齢まで年金額を3分の1に減らすことで妥協が成立した。

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トゥスク首相は「高齢化が進む中、年金制度を維持するために必要な措置」と説明して理解を求めた。ポーランド人の生活が西欧の隣人に比べて貧しかったこと、それが原因で健康に問題を抱えている人が数多くあることは承知しているとした上で、「貧しいから早く仕事をやめるという理屈にはならない」と話している。

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野党「法と正義」のカチンスキー党首は、政府案は「山師に『ポーランド人を搾取し続けてください』と言っているようなもの」と批判。年金改革の国民投票は体制変換後の政治システムの是非を問うものにすべきと発言した。また、高齢化問題の解決には家族を保護する政策を実施すべきで、年金改革はこれに逆行するものと語った。

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POの議員はこれに対し、年金改革への反対運動と社会主義体制への反対運動を混同させるのは間違っていると強く批判した。

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