2012/4/18

総合・マクロ

中欧3カ国、来年から着実に成長=ゴールドマン・サックス

この記事の要約

米投資銀行ゴールドマン・サックスはこのほど、ポーランド、ハンガリー、チェコの中欧3カ国で来年以降、経済が着実に成長するとの予測を明らかにした。西欧の景気回復が追い風になる。ただ、各国の事情やリスクの大きさは異なるという。 […]

米投資銀行ゴールドマン・サックスはこのほど、ポーランド、ハンガリー、チェコの中欧3カ国で来年以降、経済が着実に成長するとの予測を明らかにした。西欧の景気回復が追い風になる。ただ、各国の事情やリスクの大きさは異なるという。

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同行の東欧専門家であるマグダレーナ・ポラン氏によると、現在、最も安定しているのがチェコだ。2008年以来の財務・金融政策が奏功して迅速に危機から脱却し、基礎データは中東欧で最も健全な値を示している。

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同じ理由から、近く、マーストリヒト条約で定める財政規律(財政赤字の対国内総生産比率3%以下)を満たすのはほぼ確実だ。ただし、輸出に大きく依存する経済構造から、ユーロ圏、特にドイツの経済が安定成長することが前提となる。この点でも、ドイツの景気見通しが明るくなっていることが好予想を可能にしている。

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今年の経済成長率は0.6%、来年は2.5%となる見込みだ。

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ハンガリーの懸念材料は、オルバン政権の方向性が見定められないことにある。巨額の国家債務の弁済に向けて、国際通貨基金(IMF)および欧州連合(EU)からの金融支援が必要になっているにも関わらず、首相は交渉に積極的な姿勢を示していない。

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EUはハンガリーで昨年末に成立した法改正が、民主主義を支える「裁判官、統計当局及び中央銀行の独立」を侵すとして、修正がなければ債務交渉に応じないと態度を硬化させている。

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通貨フォリントの相場低下に起因する外貨建て民間債務の負担増も懸念材料だ。

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経済は今年、0.5%縮小するが、来年には1.3%のプラス成長に転換するとみられる。

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ポーランドは中長期的に最も大きな可能性を秘めている。対外債務はチェコよりも大きいが、国内市場が大きく、国外の景気に左右されにくいという強みがある。消費者信頼感が高まっていることや、借り入れコストが低下していることで、今後も内需の伸びが予想される。

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政府は外需拡大を機に、国家支出を削減して財政再建を進めることが求められる。経済成長への影響を妨げることができるためだ。この点から、政府の計画する年金改革は評価できる。

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経済成長率は今年2.5%、来年3.3%と予想される。

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