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2012/6/27

総合・マクロ

ガスプロム、取引価格の見直しで妥協へ

この記事の要約

供給価格をめぐるガスプロムとドイツのガス卸業者との対立に解決の光が見えてきた。卸業者側は、現行契約で採用されている石油価格に連動する価格決定法により競争力が低下しているとして見直しを求めていたが、ガスプロム側はこれまで妥 […]

供給価格をめぐるガスプロムとドイツのガス卸業者との対立に解決の光が見えてきた。卸業者側は、現行契約で採用されている石油価格に連動する価格決定法により競争力が低下しているとして見直しを求めていたが、ガスプロム側はこれまで妥協の姿勢を示してこなかった。エーオンについては1年前から国際調停手続きが進められており、RWEとも対立が鮮明になっていた。早ければ今月中に交渉がまとまる見通しという。

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従来、ガス価格は石油価格に連動させることが一般的だった。寡占的な市場環境もあり、この取引方法は双方に安定した利益をもたらし、設備投資の回収を確実にする理想的なものだった。ところが、低価格の液化天然ガスが流通するようになったことなどから、ガス卸業者は従来契約で定められた価格で仕入れたガスを販売するのが困難になった。

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ノルウェーのスタトイルは顧客の言い分を認め、価格の見直しに応じたが、ガスプロムはこれまで、従来の立場に固執していた。その姿勢を変えたのは、市場シェアが縮小しているためだ。2月の時点では今年の対欧州輸出が前年比で2.6%増加するとみていたが、今月20日には「前年実績以下」へ下方修正した。

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ガス供給事業者の中には、一時的な値下げではなく、価格決定の仕組みを見直す必要を訴える声がある。これには、スポット市場価格を参照するなどの方法が考えられる。

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ガスプロムは市場環境の変化に対応するため、輸出相手国のエネルギー市場に進出する戦略をとっている。現在は、バイエルン州政府と独自の発電所の新設で交渉中だ。ガスプロムは「同型の発電所を複数設置することでコストが低減できる」と話し、大規模な投資を計画していることを示唆している。ただし、利益の確保に向けて運転期間の延長が必要とみる。

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提携企業の条件としては、◇財務の安定◇現地での事業経験◇ガスプロムの投資の意図を理解――を挙げており、独語版『フィナンシャル・タイムズ』では地域エネルギー公社(Stadtwaerke)が条件に当てはまると指摘する。

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なお、バイエルン州では需要を満たすために出力4,000メガワット相当の発電能力が不足していると推算されている。

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