オーストリア金融大手のエルステ・グループがハンガリー、チェコ、ポーランド、クロアチア、ルーマニア、スロバキアの中東欧6カ国を対象に実施した調査で、ハンガリーを除くと外資系銀行の貸出高が一定の水準を保っていることが明らかになった。ハンガリーでは、スイスフラン建てローンの繰上げ返済といった国の施策を背景に、2011年3月から12年3月の1年間に47億ユーロ(国内総生産の5.8%に相当)減少した。
\中東欧6カ国では、2008年の金融危機前に比べ、資金調達における外国への依存が軽減した。経常赤字が大幅に減少したことがその背景にある。資本収支は年350億米ドルの黒字で、黒字額は08年に比べて半減した。
\ルーマニアを除けば全ての国で、経常赤字は外国企業による投資や欧州連合(EU)からの資金で補填され、国家債務の増加にはつながっていない。EUからの資金調達は08年の75億ユーロから11年には183億ユーロへ倍増した。
\調査対象となった中東欧6カ国は国家債務が比較的少なく、金融業界の規模も小さかったため、欧州債務危機の中心にある南欧諸国やアイルランドほど銀行への依存が大きくなかったことも状況の安定につながった。
\調査を担当したコティアン氏は、アジアの企業が中東欧に工場を儲けて輸出の拠点とする傾向を強めていると指摘する。具体的には、ミタル・スチールや自動車・部品メーカーのほか、パナソニック、LGエレクトロニクス、鴻海精密工業(フォックスコン)などの電機メーカーの名を挙げる。中東欧経済にとって、ドイツ向けの製品を生産するだけでない、新たな可能性が生まれてきているようだ。
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