2012/8/29

ロシア

ロシアの高速鉄道計画中止か、政府予算に費用計上されず

この記事の要約

2018年のサッカー世界選手権大会(W杯)開催に向けてロシアが発表した高速鉄道幹線の整備計画が中止される可能性が出てきた。23日付の経済紙『ベドモスチ』がシュヴァロフ副首相に近い筋からの情報として伝えたところによると、建 […]

2018年のサッカー世界選手権大会(W杯)開催に向けてロシアが発表した高速鉄道幹線の整備計画が中止される可能性が出てきた。23日付の経済紙『ベドモスチ』がシュヴァロフ副首相に近い筋からの情報として伝えたところによると、建設費用が政府の2015~17年度予算に計上されていないという。ロシア国鉄(RZD)の2020年までの投資計画にも含まれておらず、このままだと資金不足で実行できなくなる情勢だ。

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ロシアはW杯の国内開催が決まった直後の2010年に高速鉄道幹線の整備計画を発表した。(1)モスクワ―サンクト・ペテルブルグ間、(2)モスクワ―ニージニー・ノブゴロド―カザン―エカテリンブルグ間に時速300キロを超える鉄道を走らせ、開催都市間の移動時間を大幅に短縮させる狙いだ。実現すれば(1)では4時間半から2時間半に、(2)では26時間から8時間にスピードアップする。プロジェクト総額は5兆6,000億ルーブル(1,750億米ドル)と見積もられ、このうち70%を政府が、30%を事業免許取得者が負担するとされた。

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『ベドモスチ』紙によると、シュヴァロフ首相はW杯大会のスムーズな運営に高速鉄道幹線は必要ではないとみており、代わりに在来線の延長・近代化を検討している。

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投資会社メトロポールの運輸・インフラアナリスト、ロシコフ氏は、政府が投資を回収するには50年もの年月がかかると指摘する。路線によっては航空会社と競合できるが、エカテリンブルグなどの長距離になると採算が上がらないという。鉄道旅客数が減りつつあるのも見通しを暗くしている。

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W杯の開催都市としては、モスクワ、サンクト・ペテルブルグ、カザン、ニージニー・ノブゴロド、エカテリンブルグ、サランスク、サマラ、ボルゴグラード、クラスノダル、ソチ、ロストフ・ナ・ドヌ、カリーニングラードなど14都市が名乗りを挙げている。最終的には9月末から10月初旬に12都市にしぼられる予定だ。(東欧経済ニュース2011年2月2日号「ロシア、高速鉄道幹線整備へ」を参照)

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