2012/9/5

総合・マクロ

スロベニアとクロアチアの景気後退続く

この記事の要約

スロベニア統計局は8月31日、同国の国内総生産(GDP)が2012年第2四半期に前年同期比で2.2%縮小したと発表した。前期比では1%のマイナスとなった。クロアチアの第2四半期GDP(速報値)も前年同期比で2.1%後退し […]

スロベニア統計局は8月31日、同国の国内総生産(GDP)が2012年第2四半期に前年同期比で2.2%縮小したと発表した。前期比では1%のマイナスとなった。クロアチアの第2四半期GDP(速報値)も前年同期比で2.1%後退し、過去2年で最大の縮小幅を記録した。

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■スロベニア首相「財政破たんの危機迫る」

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スロベニアでは、国内消費が6.8%も落ち込んだことが足を引っ張った。政府支出は2%、民間支出は3%、それぞれ縮小した。耐久消費財は8.4%の大きな後退を示した。

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ヤネス・ヤンシャ首相は31日のインタビューで、財政難が深刻化し、現状では10月初めにも欧州連合(EU)に支援を要請しなければならなくなると話した。首相が支払い不能の可能性を公言するのはこれが初めてのことで、状況の先鋭化がうかがわれる。ダニロ・テュルク大統領に対しても「厳しい財政状況とその結果(財政破たん)が迫っている事実」を正式に報告したという。

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中道右派のヤンシャ首相は、昨年12月の前倒し選挙を通じて2月に発足した5党連合政権を率いる。この選挙は中道左派の前政権による改革案が、ヤンシャ首相ら保守派の反対で否決されたため、実施された。

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ヤンシャ政権成立後、野党はその仕返しとばかりに財政緊縮法案の可決を拒み、債務増大に歯止めをかける憲法改正にも反対してきた。ヤンシャ首相は今回の発言で野党に圧力をかける狙いのようだ。

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スロベニアは不動産バブルの崩壊を機に銀行の不良債権が増大し、その総額は最大80億ユーロに上るといわれる。これはGDPの20%に匹敵する規模だ。財政赤字は6.4%に達し、国家債務は2008年の2倍に膨らんだ。また、民営化への着手が遅れたため、国営企業の株式売却が難航。銀行や航空会社のアドリア・エアウェイズ、電気通信企業、石油会社、乳製品メーカー、ホテル経営会社の買い手を模索しているが、これまでのところ成功していない。

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■クロアチア、景気後退からの脱却ならず

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クロアチアは2009年以来、景気後退が続いている。スプリツカ・バンカ(ソシエテ・ジェネラルグループ)のズデスラフ・サンティッチ主任エコノミストは、民間・政府支出がともに縮小したと推定する。小売売上高が前年同期比で5%以上低下し、工業生産高も6%以上減少したためだ。主な輸出先である欧州連合(EU)の経済が債務危機で不振であることも影響している。第3四半期は観光業界が好調のため、景気の後退幅が縮小しそうだ。

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