2012/9/19

総合・マクロ

中東欧とオーストリアの賃金格差、いまだ大きく

この記事の要約

賃金面における中東欧諸国の魅力はまだあせていない。金融危機の影響で労働経費上昇の勢いが緩んだためだ。ウィーン国際比較経済研究所(WIIW)がTPAホワースの委託で実施した、中東欧9カ国とオーストリアの労働コスト、税負担、 […]

賃金面における中東欧諸国の魅力はまだあせていない。金融危機の影響で労働経費上昇の勢いが緩んだためだ。ウィーン国際比較経済研究所(WIIW)がTPAホワースの委託で実施した、中東欧9カ国とオーストリアの労働コスト、税負担、競争力の比較調査でわかった。

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税込み賃金の平均はオーストリアの3,285ユーロに対して、9カ国中最も高いスロベニアでも1,525ユーロと半分以下にとどまった。最も安いブルガリアは426ユーロで、オーストリアの約11%に過ぎない。

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社会保険料などを含めた雇用費の総額でもオーストリアは4,299ユーロと2位スロベニア(1,794ユーロ)の2.4倍と群を抜いて高い。物価水準の違いを考慮した実質でも差は大きいという。

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投資決定で重視される単位労働コスト(ULC)は、ブルガリアでオーストリアの28%、チェコで44%弱、スロベニアで63.7%。ただ、中東欧のULC上昇率は今後数年、オーストリアのそれを上回る見通しだ。TPAホワートのバウアーミッターレーナー氏は、金融危機で賃金水準が下がったこと、ユーロ未導入国では自国通貨安で競争力が強化されたことで、労働コストの伸びが鈍ったと話し、ULCがオーストリアの水準に追いつくのははこれまでの予想より遅くなるとの見通しを語った。

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賃金だけではなく、租税公課負担をみても、オーストリアより重い国はない。危機を受けて付加価値税(VAT)を増税した国はあるが、労働関連では概して税負担は低く抑えられている。ただ、国による違いには注意する必要がある。例えばルーマニアでは社会保険料に上限がないため、給与が高ければ高いほど負担が重くなる。

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