2012/11/28

総合・マクロ

ポーランドが巨額のエネルギー投資、原発・シェールガス開発を柱に

この記事の要約

ポーランドのトゥスク首相は21日、2020年までにエネルギー部門に1,000億ズロチ(約240億ユーロ)を投じる計画を打ち出した。拡大する電力需要への対応と環境への取り組みを両立させるため、国内初となる原子力発電所の建設 […]

ポーランドのトゥスク首相は21日、2020年までにエネルギー部門に1,000億ズロチ(約240億ユーロ)を投じる計画を打ち出した。拡大する電力需要への対応と環境への取り組みを両立させるため、国内初となる原子力発電所の建設やシェールガスの探査・開発を推進し、石炭に依存するエネルギー供給体制からの脱却を図る。

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金融危機後の景気低迷が長期化するなか、域内6位の経済規模を持つポーランドは20年以上にわたって成長を維持しており、エネルギーの安定確保が重要な課題となっている。同国は欧州連合(EU)最大の石炭産出国で、国内発電量の約9割を石炭火力発電が占めているが、二酸化炭素(CO2)排出量の多い石炭に依存する現状ではEUの温室効果ガス削減目標を達成することは難しい。また、現在は国内で使用する天然ガスの70%を輸入に頼っており、ロシアからの輸入がこのうち約半分を占めている。政府はこうした現状を踏まえ、新たなエネルギー戦略について検討を進めていた。

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トゥスク首相は記者団に対し、「エネルギー政策は最も重要な政治的課題の1つだ」と強調。「エネルギー部門に対する大規模な投資計画の第1弾」として、原子力発電所の建設などに総額1,000億ズロチ超を投入する方針を明らかにした。

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AFP通信などによると、計画の柱となるのは400億ズロチを投じてバルト海沿岸に原子力発電所を建設するプロジェクト。2024年の稼働を目指しており、現在、国営電力会社PGEの主導で建設予定地や採用する技術の選定などが行われている。同国の原発計画には仏電力公社(EDF)と仏原子力大手アレバ(Areva)のコンソーシアム、東芝傘下の米ウェスチングハウス・エレクトリック、GE日立ニュークリアエナジーアメリカズの3グループが関心を示しており、早ければ年内にも入札手続きが始まる見通しとなっている。

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このほかポーランドでは現在、国内8カ所で石炭と天然ガスの両方を燃料とする火力発電所の建設が進められており、建設コストは総額400億ズロチに上る見通し。また、液化天然ガス(LNG)ターミナルと近隣諸国から天然ガスを運ぶパイプラインの建設に総額180億ズロチが投じられる。さらに50億ズロチを投じてシェールガスの探査・開発が進められる。ポーランドにおけるシェールガスの可採埋蔵量は最大1兆9,200億立方メートルに上るとされ、欧州ではノルウェー、オランダに次ぐ有望市場とみられている。すでに国際石油資本のシェブロン、コノコフィリップス、カナダの石油・ガス開発会社タリスマン・エナジーがシェールガス探査プログラムに参加している。

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