ロシアのプーチン大統領は12月28日、米国民とロシア人の子どもの養子縁組を禁止することなどを盛り込んだ法案に署名した。米国で人権侵害に関わったロシア政府関係者のアメリカへの入国を制限する法案が成立したことへの対抗措置で、1日から発効する。
\米国では先月、重大な人権侵害に関与したロシア当局者へのビザ発給停止や、米国での資産凍結などを規定する通称「マグニツキー法案」が成立した。マグニツキー氏はロシア当局者の不正を告発しながら逮捕され、2009年に獄中死したロシア人弁護士。ロシアはマグニツキー法案の成立に強く反発。与党議員らが米国人によるロシア人の子供の養子縁組の禁止や、ロシア国民に対する人権侵害や犯罪に関わった米国人へのビザ発給などを盛り込んだ法案を提出、上下両院で通過させた。米国に養子として引き取られたものの乗用車に放置された死亡した男児にちなみ「ジーマ・ヤコブレフ法案」と呼ばれるこの法案はプーチン大統領の署名によって成立。これによって、すでに決まっていた53人のロシア人の子どもと米国人との養子縁組が取り消されることになった。
\米国務省の報道担当者は同法案の成立を受け、「非常に遺憾だ」とする声明を発表。「ロシア政府の政治的な動機による決定で、施設で保護されている子供たちが養子として受け入れられる可能性が少なくなる」と批判した。ユニセフの推定によるとロシア国内には約74万人の孤児がいる。米国は過去20年間に6万人のロシア人を養子として引き取り、最大の引受先となってきた。ロシア国内では米国民との養子縁組の禁止によって不利益を被るのは孤児たちであるとの声との声も強く、法案の見直しを求める署名運動では10万人を超える署名が集まった。
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