2013/1/16

総合・マクロ

チェコ大統領選挙、元首相と外相で決選投票

この記事の要約

チェコで11、12の両日に実施された大統領選挙の第1回投票は、現外相の中道右派カレル・シュヴァルツェンベルク候補(75)が23.4%を得票して2位となり、25、26両日の決選投票に残るという予想外の結果になった。1位は中 […]

チェコで11、12の両日に実施された大統領選挙の第1回投票は、現外相の中道右派カレル・シュヴァルツェンベルク候補(75)が23.4%を得票して2位となり、25、26両日の決選投票に残るという予想外の結果になった。1位は中道左派で首相を務めたことのあるミロシュ・ゼマン候補(68)だが、得票率の差はわずか0.81%にとどまっている。

\

シュヴァルツェンベルク候補は、チェコの政治家として長期間にわたり高い人気を維持していた。しかし、同候補が党首を務める中道右派政党「TOP09」が連立与党として緊縮財政を推進していることで、支持率が低下。選挙前の世論調査では11%まで下落していた。

\

ばん回の理由としては、(1)前評判の高かったヤン・フィシェル候補(前首相)がテレビ討論会で振るわなかった(2)豊富な政治経験を活かした選挙戦略(3)カリスマ性で若者の支持を集めた――などが挙げられている。

\

(2)では、著名な知識人・芸術家の応援を募り、コンサートなどを開催した。(3)では、オーストリア・ハンガリー帝国から続く伝統貴族の当主にふさわしい気品と落ち着きを備えながら、会議中に退屈だと居眠りをし、オーストリアの反原発活動家を「まぬけ」とコメントするなど、その単刀直入さが好感を呼んだ。第一回投票の結果が明らかになった12日に支持者集会で国歌をうたったときの「音痴ぶり」もビデオがユーチューブで大ヒットしているという。

\

決選投票の行方は不透明だ。外政面では、シュヴァルツェンベルク候補もゼマン候補もヴァツラフ・クラウス現大統領とは異なり、欧州連合(EU)との融合を推進する立場。このため、内政が争点となるのは間違いない。

\

シュヴァルツェンベルク候補は今回、高等教育を受けた中間層など、過去数年で「勝ち組」となった層の支持を得た。また、決して勝ち組とは言えない若者層が、フェイスブックで「侯爵(同候補のニックネーム)」を強力に支持したことも言及に値する。

\

一方、ゼマン候補は、緊縮財政に反対する低所得層・地方居住者の票を集めた。決選投票では、独自候補を立てなかったチェコ・モラビア共産党(KSCM)やフィシェル候補の支持層を取り込めそうだ。ただ、2007年に論争の上、離党した社会民主党(CSSD)の動向が定まっておらず、これが結果を左右するとみられている。

\

チェコ大統領選挙は今回から国民による直接選挙制となった。

\
COMPANY |
CATEGORY |
KEYWORDS |