EU加盟国は15日、ルーマニア産の馬肉が「牛肉」と偽られて流通し、英国などで加工食品材料として使用されていた食品偽装事件を受けて、域内で牛肉加工食品のDNA検査を実施することを決定した。
\問題の発端となったのは、アイルランド食品安全庁が1月中旬、英国とアイルランドのスーパーで販売されていた冷凍のビーフバーガーから馬のDNAが検出されたと発表したこと。今月上旬には英国で欧州冷凍食品大手フィンダスのビーフ・ラザニアに最高で100%の馬肉が含まれていたことが発覚。その後、フランスやドイツなど欧州16カ国で馬肉が混入したラザニアやミートソースが販売されていることが確認され、欧州全域にまたがるスキャンダルに発展している。各国当局は馬肉が混入した経緯について調査を進めているが、例えばラザニアのケースではルーマニアで処理された食肉が、オランダ、キプロス、ルクセンブルク、フランスの業者を経て製品化されるなど流通経路が複雑なことから、調査は難航するとの見方もある。
\これを受けて欧州委員会は13日、全加盟国で牛肉加工食品を無作為抽出してDNA検査を実施し、馬肉が混入していないかを調査すると同時に、人間に健康被害を引き起こす危険性がある動物用抗炎症薬「フェニルブタゾン」が馬肉に残留していないかチェックすることを提案。これを加盟国が承認した。
\欧州委のボルジ委員(保健・消費者保護担当)は、「牛肉でないものを牛肉と表示する権利は誰にもない」とした上で、「誰かが責任をとることになるだろう」と述べ、刑事責任の追求を含め必要な措置をとる姿勢を示した。
\ \■ルーマニア当局は国内業者の疑惑関与を否定
\ \ルーマニア当局は「馬肉は馬肉として出荷しており、偽装表示はない」との調査結果を発表し、同国の食肉業者が疑惑にかかわった可能性を否定した。
\ルーマニアは馬肉輸出で世界9位(11年)とされており、同国統計局によると12年1‐11月期の輸出額は1,200万ユーロに上る。国内には約20の馬肉屠殺業者が認定を受けており、主な輸出先はベルギー、アルゼンチン、カナダ、メキシコ、ポーランド、フランス、オランダ、ハンガリー。同国は2003年に豚インフルエンザの発生で8年間の輸出禁止措置を受けており、馬肉は重要な農業輸出品の1つになっている。国内業者は今回の偽装スキャンダルのあおりで需要が落ち込む恐れがあるとして憂慮を示している。
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