ハンガリーの石油最大手MOLがクロアチア子会社INAの完全買収を狙っているもようだ。現地メディアによると、クロアチア政府に交渉開始を強く迫っているという。
\MOLは2003年と2008年にINA株を取得し、その後の少数株買収を経て49.1%の株式を握る。しかし、2003~09年に首相を務めたサナデル氏に1,000万ユーロの賄賂を贈り、09年1月の政府との合意文書で◇過半数株を握らないまま事実上、経営権を取得◇赤字採算のINAのガス事業をクロアチア政府が買収――を認めさせたという疑惑が浮上。昨秋の第一審でサナデル氏に懲役10年の有罪判決が言い渡されたこともあり、クロアチア側はMOLに対する不信感を強めている。
\今回、完全買収に関する報道が過熱したのは、ハンガリーのマルトニー外相が先月半ば、クロアチアを訪問したことがきっかけだ。しかし、同外相は政府首脳との会談で買収が話題にならなかったコメントした。クロアチアのミラノヴィッチ首相も正式交渉の存在を否定している。
\クロアチア経済紙『ポスロヴニ・ドゥネヴニク』は4月25日、MOLが政府に対して5月末までに新しい契約締結に向けた正式交渉を開始するよう書面で求めたと報じた。この中でMOLは、INAの完全買収と引き換えに譲歩の用意があると伝えたという。
\クロアチア政府はINAに44.9%出資している。
\