2013/5/2

コーヒーブレイク

ソ連時代の勲章復活~ロシア

この記事の要約

ロシアでまたも、ソ連時代をほうふつとさせる行事が復活した。国家と国民に尽くす仕事を果たした個人に贈られる「労働英雄勲章」がこのメーデーに、22年ぶりで授与されたのだ。\ 今回、この栄誉を受けたのは、マリインスキー歌劇場の […]

ロシアでまたも、ソ連時代をほうふつとさせる行事が復活した。国家と国民に尽くす仕事を果たした個人に贈られる「労働英雄勲章」がこのメーデーに、22年ぶりで授与されたのだ。

\

今回、この栄誉を受けたのは、マリインスキー歌劇場のワレリー・ゲルギエフ芸術総監督など5名。ゲルギエフ氏は1988年、35歳のときにマリインスキー歌劇場(当時はキーロフ歌劇場)の芸術監督に就任し、同劇場を世界的な地位にまで育て上げた。

\

「労働英雄」には表彰状のほか、重さ15.25グラムの金でできた勲章が授与される。5つの頂点を持つ星型で、ソ連時代の「社会主義労働英雄勲章」とデザインがよく似ている。

\

それもそのはず、プーチン大統領はすでに昨年12月の時点でこの勲章の「復活」を予告。3月末に大統領令として導入を命じた。同じ3月の党関連の催しでは、「ソ連時代の『社会主義労働英雄』称号は存在してしかるべきだったというのが私の見方だ」と話している。

\

労働英雄勲章には賛成の声がある一方、反対する人も多い。

\

ラジオ局「モスクワ・エコー」には「得体の知れない勲章よりも、労働条件改善と賃金引き上げに取り組むべき」という投稿が寄せられた。人権擁護運動家のレフ・ポノマリョフさんは「国が唯一の雇用者だったソ連時代は過去の話。いまでは民間部門で働く人が多く、どのような仕事が評価の対象になるのか、決まった規準がない」と話し、時代遅れと批判している。オンライン証券サイト「証券ガイド」も「資本主義時代の『労働英雄』とはなんぞや?鉱夫か芸能人か、ルカシェンコのような友好国の指導者か、誰よりも儲けまくった新興財閥か」と皮肉っている。

\

「労働英雄勲章」は1928年にスターリンによって導入され、1938年に「社会主義労働勲章」に改名された。1991年のソ連崩壊まで特に功績のあったとされる人物に贈られたが、水爆開発で3度受賞したサハロフ博士が後の民主化・人権運動で体制から敵視されて勲章をはく奪されるなど、政治的な側面を色濃く持っていた。

\
ルーマニア・ブルガリア・その他南東欧・トルコ
COMPANY |
CATEGORY |
KEYWORDS |