ロシアは国内造船業の再建に乗り出す。高性能な商船の大半を海外への発注に依存する体質から脱却し、国内で建造を請け負う体制を整える。このため、国営統一造船会社(OSK)は2030年までに最大1兆ルーブルを投資して近代的なドックの建設や外国の最新技術の導入を進める方針だ。
\ロシアの造船業は冷戦終結後の船舶需要の縮小により衰退し、近代化が遅れている。船舶の建造に欠かせない大型クレーンは不足しており、3D設計システムの導入も進んでいない。このため、同国の造船業界は原価が海外と比べ1.2~1.5倍という高コスト体質に陥っている。こうした現状を打破するため、ロゴージン連邦副首相が委員長を務める海事委員会はこのほど発表した報告書で、30年までに世界の商船市場におけるロシアのシェアを3倍に引き上げることを目標に掲げている。
\石油大手ロスネフチと天然ガス大手ガスプロム傘下のガスプロムバンクは先月、超大型造船所「ズヴェズダ」を運営する合弁会社を設立する計画で政府から承認を得た。ズヴェズダは、OSKが極東に保有する資産を統合し、石油プラットフォーム、ガスタンカー、砕氷船などを建造する。ズヴェズダには海運最大手ソフコムフロートも参加を表明している。
\(1RUB=3.10JPY)
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