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2013/12/11

ロシア

肥料大手ウラルケム、ウラルカリーの株式20%取得

この記事の要約

ロシアの窒素肥料大手ウラルケムは2日、カリ肥料ウラルカリーの株式20%を取得すると発表した。当局の許可を経て、近く取引を完了する見通し。取引金額は公表されていないが、11月29日の終値をもとに算出すると約29億米ドルとな […]

ロシアの窒素肥料大手ウラルケムは2日、カリ肥料ウラルカリーの株式20%を取得すると発表した。当局の許可を経て、近く取引を完了する見通し。取引金額は公表されていないが、11月29日の終値をもとに算出すると約29億米ドルとなる。

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ウラルケムが今回取得する株式には、ロシアの有力実業家であるガルチェフ氏とスクロフ氏が保有するそれぞれ7%、4.8%が含まれている。ウラルカリーをめぐっては先月、筆頭株主であるケリモフ氏が、持ち株21.75%を大富豪プロホロフ氏率いる投資会社オネクシムに売却することで合意している。

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世界最大級の炭酸カリウム生産会社であるウラルカリーは、2005年にベラルーシ同業ベラルーシカリーと合弁会社「ベラルーシ・カリ会社(BKK)」を設立。世界のカリ市場の4割を握ってきた。しかしウラルカリーは今夏、事業方針をめぐる対立などからベラルーシカリーとの合弁を解消し、BKKを通じた共同輸出を拒否。8月にはベラルーシ側と協議するためミンスクを訪れたウラルカリーのバウムゲルトナー最高経営責任者(CEO)が職権乱用ならびにベラルーシ側に損害を与えたとして身柄を拘束されるという事態に発展した。ベラルーシのルカシェンコ大統領は、バウムゲルトナーCEOをロシア側に引き渡す条件として、ウラルカリーの株主変更を要求。同CEOの身柄は、オネクシムがケリモフ氏の持ち株買収を発表した3日後にロシア警察当局に引き渡された。これら一連の騒動によって、200億ドルの規模を持つ炭酸カリウムの世界市場は混乱に陥り、1トンあたりの価格が7月に400ドルから11月には305~310ドルに下落した。

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今回ウラルカリーの株式を取得したウラルケムのオーナー、マゼピン氏はベラルーシ出身。ロシアには、同氏をウラルカリーの株主に据えることで、ベラルーシ側との緊張緩和につなげたい思惑があるとの見方もある。

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