2014/3/5

コーヒーブレイク

「食」の博物館~チェコ

この記事の要約

プラハに変わった歴史博物館がある。そこには政治家や将軍の登場する歴史ではなく、「食」の移り変わりが展示されている。 約2年前にオープンした「食の博物館(Muzeum Gastronomie)」はプロヴァーン夫妻の経営する […]

プラハに変わった歴史博物館がある。そこには政治家や将軍の登場する歴史ではなく、「食」の移り変わりが展示されている。

約2年前にオープンした「食の博物館(Muzeum Gastronomie)」はプロヴァーン夫妻の経営する民間博物館だ。「社会の移り変わりや技術の進歩を、戦争や政治紛争なしで示した」という。

人類の火の利用に始まり、定住による食事の変化、石かまど、中世や近世の共同調理、ローマ法王の調理人バルトロメオ・スカッピの料理本(1570年) 、フランス貴族の食卓、フランス革命後の「宮廷料理」の普及、19世紀半ばの石炭・ガスオーブン発明による家庭料理の変化などを見ることができる。

調理器具、オーブン、典型的なチェコの食料品店、パブ、ワインセラーも再現。なかでも、チェコで約50年前に特許を取った電気鍋「レモスカ」は、チェコ人には馴染み深い。ふたが熱くなるため材料の焦げ付きがなく、パンからパイ、肉料理、スープ、ソースまで調理できる万能選手だ。

中世の肉の食べ方についての展示では、肉が一口サイズに切られており、右手の3本の指だけを使ってつまんで食べた様子が分かる。映画などで骨付き肉を手にとって口で肉を食いちぎるシーンがよく見られるが、これは「神話」に過ぎない。

テーマを決めたイベントも開催している。デンマーク、スウェーデン、フィンランドなど外国人を中心に人気なのが「チェコの飲み物」で、スリヴォヴィツェ(スモモ酒)、フルシュコヴィツェ(洋ナシ酒)、ベヘロフカ(ハーブ・リキュール酒)などお酒が中心。それぞれのお酒の特徴や見分け方、本来の味について学ぶことができる。12月まで予約がいっぱいという。

プロヴァーン夫妻は博物館を作ったきっかけとして、親せきに料理専門家や一流ホテルのウエイターがいたことで「食」が身近な存在だったこと、同じプラハの「チョコレート博物館」の設計にかかわったことなどがあると話す。今後の課題は、国内からの訪問者を増やすことだ。これまでは外国人の訪問が多く、チェコからは料理学校の生徒などに限られているという。

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