2014/4/9

バルト三国

ラトビア経済にロシア通貨安の影

この記事の要約

ロシア・ルーブル安がラトビア経済に及ぼす影響が懸念されている。ロシアが同国にとって最大の輸出相手国であり、主要産業である物流部門の重要な取引先だからだ。ただ、現時点ではそれでもラトビアが高い経済成長率を維持できるとみられ […]

ロシア・ルーブル安がラトビア経済に及ぼす影響が懸念されている。ロシアが同国にとって最大の輸出相手国であり、主要産業である物流部門の重要な取引先だからだ。ただ、現時点ではそれでもラトビアが高い経済成長率を維持できるとみられている。

ラトビアの輸出のうちロシアは16%を占め、国別で最大。しかし、ソ連からの独立以来、ロシア依存脱却を図ってきただけに、EU加盟国への輸出が合計66.4%と圧倒的で、経済全体を揺るがすほどの影響はないとみられる。

懸念材料は天然ガスの調達だ。輸入全体に占めるロシアの割合は8.2%に過ぎないが、石炭需要の57.9%、天然ガスの95.1%をロシアに頼っているためだ。石炭は他国からの輸入も可能だが、天然ガスについては国内に液化天然ガス(LNG)ターミナルがなく、調達先を変更するのは難しい。

ラトビアはまた、ロシア発着貨物の経由国として重要な役割を果たしているが、ルーブル安で売上への影響が心配される。加えて、ロシアがエストニア国境に近いウスチ・ルガ港の整備を進めていることで、需要が減る懸念もある。

物流産業は昨年、CIS事業がけん引して1.3%の実質成長をとげた。粗付加価値(GVA)に占める比率は10.2%に上った。

ロシアルーブルは過去1年で3割安となり、現在1ユーロの為替相場は50ルーブルを超えている。

■EU内で最高の成長率

EUの欧州委員会は、今年のラトビア経済がEU加盟国で最大の4.2%の成長を示すと予測している。輸入は4%増、輸出は4.8%増、個人消費は4.9%増、投資は5.2%増となる見通しだ。

ラトビアは人口200万人でGDPは233億ユーロ。構造的な貿易赤字を抱え、輸出高はGDPの47%、輸入高は57%に上っている。