2014/4/30

ルーマニア・ブルガリア・その他南東欧・トルコ

スロベニア首相が離党、前倒し選挙を検討

この記事の要約

スロベニアのブラトゥシェク首相は29日、支持母体である与党「積極的なスロベニア(PS)」を離党する意思を表明した。26日の臨時党大会で行われた信任投票に敗れて党首の座を失ったためだ。前倒し選挙をこの夏に実施する準備を進め […]

スロベニアのブラトゥシェク首相は29日、支持母体である与党「積極的なスロベニア(PS)」を離党する意思を表明した。26日の臨時党大会で行われた信任投票に敗れて党首の座を失ったためだ。前倒し選挙をこの夏に実施する準備を進め、それを機に首相を辞任したい意向。信任投票前には、不信任であれば首相を辞めると予告していたが、政情の安定を優先し、まずは連立パートナーと解決策を検討するという。今後の道筋をつけた後に、最終的に進退を決定するもようだ。

ブラトゥシェク首相は昨年3月、連立4党の支持を受けて就任した。金融専門家としての手腕を発揮して緊縮財政を実施し、国内総生産(GDP)の14%にまで膨らんだ財政赤字を4.2%に圧縮した。また、不良債権受け皿機関(バッドバンク)の設置、民営化推進に向けた施策を実施した。これらの措置が奏功し、スロベニア経済は輸出増加に転じるなど、明るい材料が見えてきたところだった。

ブラトゥシェク首相を党首の座から引き下ろしたのは、PSを結成したヤンコヴィッチ前党首(現リュブリャナ市長)だ。首相が、従来の党戦略から大きく外れる政策をとったことを理由としている。PS所属議員では首相支持派が多かったが、一般党員の不満が募っていたようだ。

ただ、財政危機の長いトンネルの終わりが見えた矢先の出来事で、経済界からはやっと回復してきた市場の信用を揺るがしかねないと批判の声があがっている。

中道左派政権でPSと連立する社会党(SD)、年金者党(DeSUS)、市民リスト(DL)は、汚職疑惑のあるヤンコヴィッチ氏との協力を拒んでいる。